更新日:2022.4.16/公開日:2017.9.12
このコンテンツは山手皮フ科クリニック 院長 豊福一朋が100%オリジナルで書いています。
2023年7月29日をもちまして一般保険診療を終了させていただきました。この記事はご参考までお読みください。
アレルギー検査
特異IgE抗体採血
自分の体の構成成分と違う物質(細菌、ウイルス、食物、ダニ、花粉など)が外から体の中に入ってくると、体はこれを異物として認識して攻撃・排除します。この自己防衛メカニズムを「免疫」といいます。
アレルギー反応は本来自分を守るための免疫が過剰に反応して自分の体を傷つけてしまう状態です。
アレルギー反応では抗原提示細胞、リンパ球、好酸球、マスト細胞などの細胞と、IgE抗体、ヒスタミン、ロイコトリエン、インターロイキンなどのさまざまなタンパク質や化学物質が関係しています。
このなかでIgE抗体は、即時型アレルギー反応をおこす物質です。アレルギーがおこると、そのアレルギーの原因(アレルゲン)にだけ反応する「特異IgE抗体」が体の中で産生されます。アレルゲンが卵白であれば卵白特異IgE抗体、ダニであればダニ特異IgE抗体が産生されます。
アレルギー検査で測定しているのが、このIgE抗体の量であり、現在200種類以上のアレルゲンに対する特異IgE抗体を測定することができます。測定値は、クラスという段階的に量をわかりやすく示す方法でクラス0~7まで7段階で示す方法がとられています。値が高い方がその特異IgEの量が多いことを示しています。
しかし、特異IgE抗体の値が高いからといって必ずしも症状と相関しません。特に、食物アレルゲンでは、特異IgE抗体がある程度高くてもそのアレルゲンを摂取しても症状がでないことがあります。
特異IgE抗体検査で原因を特定できる可能性があるアレルギー
- 花粉症
- アトピー性皮膚炎
- 食物アレルギー
- 気管支喘息
- 小麦依存性運動誘発アナフィラキシー
特異IgE抗体検査費用
項目数 | 自己負担額 (自己負担30%) |
項目数 | 自己負担額 (自己負担30%) |
---|---|---|---|
1 | ¥837 | 8 | ¥3,147 |
2 | ¥1,167 | 9 | ¥3,477 |
3 | ¥1,497 | 10 | ¥3,807 |
4 | ¥1,827 | 11 | ¥4,137 |
5 | ¥2,157 | 12 | ¥4,467 |
6 | ¥2,487 | 13 | ¥4,797 |
7 | ¥2,817 | View39 | ¥4,797 |
(計算式)
1項目(110点)×検査数+免疫学的検査判断料(144点)+採血手技料(24点) 合計点数に10(1点=10円)を掛けて、さらに健康保険自己負担割合(0%、10~30%)を掛けた金額が自己負担額となります※。
これに別途、初診料282点(¥850)、再診料72点(¥216)が加わります。
特異IgE抗体検査項目
1)シングルアレルゲン
室内塵 | 動物 |
ハウスダスト1 | アヒル |
ハウスダスト2 | イヌ(フケ) |
ダニ | ネコ(フケ) |
ダニ(ケナヒョウヒダニ) | ウシ(フケ) |
ダニ(コナヒョウヒダニ) | ウマ(フケ) |
サヤアシニクダニ | ガチョウ |
ケナガコナダニ | 家兎(上皮) |
アシブトコナダニ | セキセイインコ(羽毛) |
真菌(カビ) | セキセイインコ(糞) |
アスペルギルス | ニワトリ(羽毛) |
アルテルナリア | ハムスター(上皮) |
カンジダ | ヒツジ(上皮) |
黄色ブドウ球菌 | ブタ(上皮) |
クラドスポリウム | マウス |
トリコフィトン | モルモット(上皮) |
ピティロスポリウム | ヤギ(上皮) |
ヘルミントスポリウム | ラット |
ぺ二シリウム | |
マラセチア属 | |
ムコール |
樹木花粉 | 昆虫 |
アカシア | アシナガバチ |
オリーブ | ガ |
カエデ(属) | ゴキブリ |
クルミ(属) | スズメバチ |
クワ(属) | ミツバチ |
コナラ(属) | ヤブカ(属) |
シラカバ | ユスリカ(幼虫) |
スギ | 職業性 |
ニレ(属) | イソシアネートHDI |
ハンノキ(属) | イソシアネートMDI |
ヒノキ | イソシアナートTDI |
ブナ(属) | エチレンオキサイド |
マツ(属) | オオバコ種子 |
ヤナギ(属) | 絹 |
イネ科花粉 | ホルマリン |
アシ | 無水フタル酸 |
オオアワガエリ | ラテックス |
オオスズメノテッポウ | Hev b 6.02(ラテックス由来) |
カモガヤ | 寄生虫 |
ギョウシンバ | アニサキス |
コヌカグサ(属) | 回虫 |
コムギ(属)(花粉) | 薬物・他 |
スズメノヒエ(属) | ゼラチン |
セイバンモロコシ | ヒトインスリン |
ナガハグサ | 綿 |
ハルガヤ | |
ヒロハウシゲノグサ | |
ホソムギ |
2)食物シングルアレルゲン
乳製品 | 卵 |
カゼイン | オボムコイド |
牛乳 | 卵黄 |
チーズ | 卵白 |
モールドチーズ | 魚介類 |
αラクトアルブミン | アサリ |
βラクトアルブミン | イカ |
肉 | イクラ |
牛肉 | イワシ |
豚肉 | |
鶏肉 | エビ |
羊肉 | 牡蠣 |
穀類 | カニ |
アワ | カレイ |
オオムギ | サケ |
オートムギ | サバ |
キビ | タコ |
グルテン | タラ |
コムギ | タラコ |
米 | ホタテ |
ソバ | マグロ |
トウモロコシ | ムラサキガイ |
ヒエ | ロブスター |
ライムギ | |
ω-5 グリアジン |
野菜・果物 | 豆 |
アボガド | アーモンド |
イチゴ | インゲン |
オレンジ | エンドウ |
カボチャ | カカオ |
キウイ | カシューナッツ |
グレープフルーツ | クルミ |
サツマイモ | ココナッツ |
ジャガイモ | ゴマ |
スイカ | 大豆 |
セロリ | ハシバミ |
タケノコ | 麦芽 |
タマネギ | ビール酵母 |
トマト | ピーナッツ |
ニンジン | ブラジルナッツ |
ニンニク | マスタード |
パセリ | Gly m4(大豆由来) |
バナナ | |
ホウレンソウ | |
マンゴ | |
メロン | |
モモ | |
ヤマイモ | |
洋ナシ | |
リンゴ |
3)View39
一度の血液検査で39項目のアレルギーをまとめて調べられます。問診から原因アレルゲンが推定できない方、学童期以降のアトピー性皮膚炎の方などの感作アレルゲンのスクリーニング検査として有用です。費用は5,000円程度です。
-
吸入系・その他(18項目) 食物系(20項目) 室内塵 ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト
卵 卵白、オボムコイド
動物 ネコ皮屑(フケ)、イヌ皮屑(フケ)
牛乳 ミルク 昆虫 蛾(ガ)、ゴキブリ 穀物 小麦、ソバ、米 樹木 スギ、ヒノキ
ハンノキ(属)、シラカンバ(属)
甲殻類 エビ、カニ イネ科植物 カモガヤ、オオアワガエリ 豆類 大豆、ピーナッツ 雑草 ブタクサ、ヨモギ 肉類 鶏肉、牛肉、豚肉 真菌 アルテルナリア(ススカビ)
アスペルギルス(コウジカビ)
カンジダ、マラセチア(属)
魚類 マグロ
サバ
サケ
職業性 ラテックス 果物 キウイ、リンゴ、バナナ その他 ゴマ
採血セット(参考)
アトピー性皮膚炎
1)13項目
動物マルチ、スギ、ダニ1、ハウスダスト1、カンジダ、卵白、牛乳、コムギ、米、大豆、ピティロスポリウム、黄色ブドウ球菌A、黄色ブドウ球菌B
2)8項目
動物マルチ、スギ、ダニ1、カンジダ、卵白、牛乳、大豆、ピティロスポリウム
学童・乳幼児のアトピー性皮膚炎と食物アレルギー
1)学童
ダニ1、スギ、ヒノキ、イヌ、ネコ、カビマルチ、食物マルチ、イネ科マルチ
2)乳幼児13項目
動物マルチ、カビマルチ、ダニ1、ハウスダスト1、カンジダ、卵白、牛乳、コムギ、米、ソバ、大豆、イワシ、ゼラチン、オボムコイド
3)乳幼児8項目
動物マルチ、ダニ1、卵白、牛乳、コムギ、米、大豆、イワシ
鼻炎
A)通年性鼻炎
1)13項目
動物マルチ、カビマルチ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、ハンノキ、スギ、ゴキブリ、ダニ1、ユスリカ、ハウスダスト1、ガ(蛾)
2)10項目
動物マルチ、カビマルチ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、スギ、ダニ1、ハウスダスト1、ガ(蛾)
3)8項目
動物マルチ、カビマルチ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、スギ、ダニ1、ガ(蛾)
B)春~初夏の鼻炎
1)10項目
スギ、ヒノキ、ハンノキ、ハルガヤ、ダニ1、ガ(蛾)、ハウスダスト1、カビマルチ、イヌ、ネコ
2)8項目
スギ、ヒノキ、ハンノキ、ハルガヤ、ダニ1、ガ(蛾)、ハウスダスト1、カビマルチ
3)6項目
スギ、ヒノキ、ハンノキ、ハルガヤ、ダニ1、ガ(蛾)
C)夏~秋の鼻炎
1)10項目
ブタクサ、ヨモギ、イネ科マルチ、ユスリカ、ダニ1、ガ(蛾)、ハウスダスト1、カビマルチ、カナムグラ、動物マルチ
2)8項目
ブタクサ、ヨモギ、イネ科マルチ、ユスリカ、ダニ1、ガ(蛾)、ハウスダスト1、カビマルチ
3)6項目
ブタクサ、ヨモギ、イネ科マルチ、ユスリカ、ダニ1、ガ(蛾)
小麦依存性運動誘発アナフィラキシー
コムギ、グルテン、ω-5グリアジン
TARC(thymus and activation regulated chemokine)
TRAC値とは
TRAC値はアトピー性皮膚炎で特異的に上昇し、短期的な重症度を敏感に反映することから、アトピー性皮膚炎の重症度を数値で表すことができます。
TRAC値の特徴
1.アトピー性皮膚炎の重症度と相関する。
2.かゆみと伴う皮膚の炎症を示す。
3.治療中のTRAC値の経時的な変化を観察することで、病状、治療効果の客観的は指標となる。
4.治療の短期的な目標を決めることができる。
なお、長期的な重症度を反映するのは(非特異的)IgEといわれています。
TRAC値検査費用
¥1,090(健康保険自己負担30%の場合)
(計算式)
TRAC値検査(194点)×検査数+免疫学的検査判断料(144点)+採血手技料(24点)
合計点数に10(1点=10円)を掛けて、さらに健康保険自己負担割合(0%、10~30%)を掛けた金額が自己負担額となります※。
これに別途、初診料282点(¥850)、再診料72点(¥216)が加わります。
非特異的IgEをおこなう場合は100点(¥300)が追加されます。