じんま疹|新宿 高田馬場 山手皮膚科クリニック

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更新日:2022.7.8/公開日:2017.3.10
このコンテンツは山手皮フ科クリニック 院長 豊福一朋が100%オリジナルで書いています。

2023年7月29日をもちまして一般保険診療を終了させていただきました。この記事はご参考までお読みください。

蕁麻疹(じんま疹)について

じんま疹の症状

かゆみを伴った発赤が、体のあちこちに出現します。平坦だったり、盛り上がったもの(膨疹)は「みみず腫れ」のように見えることもあります。1つ1つの発赤は、24時間以内にいったん消えてしまうことが特徴です(同一の場所の同一の形で24時間以上残らない)。 同一部に24時間以上残る発赤はじんま疹でないか、膠原病などにともなうじんま疹のことがあります。
また、重症の場合は、のどの粘膜が腫れ、呼吸困難になる場合もあります。

じんま疹の種類

急性蕁麻疹(急性じんま疹):毎日のように繰り返し症状が現れるじんま疹のうち、発症して1ヶ月以内のもの。細菌、ウイルス感染などが原因となっていることが多い。

慢性蕁麻疹(慢性じんま疹):毎日のように繰り返し症状が現れるじんま疹のうち、発症して1ヶ月以上経過したもの。原因が特定できないことが多い。原因がわからずに長期間続くじんま疹を「特発性じんま疹」といいます。

物理性蕁麻疹(物理性じんま疹):機械的な摩擦や圧迫、寒冷、温熱、日光、振動などといった物理的刺激により起こる。

コリン性蕁麻疹(コリン性じんま疹):入浴や運動などで汗をかくと現れるじんま疹。一つ一つの膨疹の大きさが1~4mm程度と小さい。小児から若い成人に多い。

アレルギー性蕁麻疹(アレルギー性じんま疹):食べ物や薬剤、昆虫などに含まれる特定物質(アレルゲン)に反応して起こるもの。

イントレランス:アスピリンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬、色素、造影剤、食品中のサリチル酸などにより起こるもの。

血管性浮腫:唇やまぶたなどが突然腫れあがり、2~3日して消える。痒みを伴わない。稀に遺伝性のものである場合がある。

ストレスとじんま疹の関係

ストレスはしばしば、じんま疹の原因や悪化要因となります。 心理学的な調査により、慢性じんま疹を持っている人には自覚しないストレス状態にあることが多かったり、ストレスに対して内向的に適応してしまう傾向があることが報告されています。

睡眠不足、受験、就職活動、転職や転勤、部署の移動、引っ越しを機にじんま疹になったり、すでにあるじんま疹が悪化したりすることがあります。

じんま疹と内臓の病気との関係

じんま疹は内臓の病気からくるのではないかと心配される方がいらっしゃいますが、そのような方はごく少数です。

大部分の蕁麻疹である特発性じんま疹では内臓の病気とは関係なく、いくら詳しく内臓の検査を行っても原因を調べることはできません。

少数のじんま疹では甲状腺疾患、膠原病、血清病、血管炎などが隠れていることがありますが、その場合はそれらの病気によるなんらかの症状がじんま疹の皮疹以外に出ています。

じんま疹はどのくらい続くか?

ほとんどのもの(急性じんま疹)は、たまたま一度だけ現れるか、繰り返して起きても1ヶ月以内に起こらなくなります。

物理性じんま疹やアレルギー性じんま疹など、原因のはっきりしているものは原因刺激を避けている限り症状は起こりません。刺激に対する過敏性は、何ヶ月、何年かのうちに次第に低くなることが多いです。

原因のはっきりしない慢性じんま疹(特発性じんま疹)の場合は、数ヶ月、あるいは数年にわたりじんま疹の出没を繰り返します。じんま疹が出始めてから2年以内に約60%の方は治るといわれています。

じんま疹の治療

慢性じんま疹の最初の治療目標は、抗アレルギー剤の内服により皮疹の出現を完全に抑えることです。抗アレルギー剤の効果には個人差(相性)があり、治療効果が現れるのに3~4日かかることがあります。

クリニックでは抗アレルギー剤1~2週間継続して内服していただき、通常用量で効果が不十分であった場合は、内服量を増加したり、薬剤を変更したりして、その人にもっとも合った治療法を模索します。

抗アレルギー剤の内服のみで不十分な場合は、補助的治療薬としてヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)や漢方薬を使用することがあります。

 抗アレルギー剤(第2世代抗ヒスタミン薬)

薬剤名 商品名 1日内服回数
エピナスチン塩酸塩 アレジオン 1回
エバスチン エバステル 1回
セチリジン塩酸塩 ジルテック 1回
ベシル酸ベポタスチン タリオン 2回
フェキソフェナジン塩酸塩 アレグラ 2回
オロパタジン塩酸塩 アレロック 2回
ロラタジン クラリチン 1回
ベポタスチンベシル酸塩 ザイザル 1回
デスロラタジン デザレックス 1
ビラスチン   ビラノア 1

(発売年順)

ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)

薬剤名 商品名
シメチジン タガメット
ファモチジン ガスター
塩酸ラニチジン ザンタック 

生物学的製剤

薬剤名 商品名
オマリズマブ(抗IgE抗体) ゾレア
チロシンキナーゼ阻害剤 臨床治験中

※ 当院では扱っていません。

じんま疹治療に使う漢方薬

薬剤名 特徴
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) 最も一般的に使用される漢方薬
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) 太鼓腹の肥満体質の方向け
茵陳蒿湯(いんちんこうとう) それほど肥満体でなく、がっしりした体型の方向け
茵陳五苓散(いんちんごれいさん) きゃしゃな体型の方向け
香蘇散(こうそさん)  
加味逍遥散(かみしょようさん) 女性
当帰飲子(とうきいんし) 高齢者 

抗アレルギー剤や補助的治療薬により、じんま疹の出現を完全に抑えることができた時は、その内服を継続して2~3カ月間じんま疹が出ないことを確認した後、1 日あたりの内服量を減らしたり、内服の間隔を空けたりします。その後、3 日に1 度程度内服することでじんま疹が出現しない状態まで改善したら、いったん内服を中止します。

検査について

からだが食物、薬品、植物(天然ゴム製品を含む)、昆虫の毒素などに曝露されることにより起こるじんま疹であれば、採血により特定の抗原物質に対する特異的IgEを測定して原因を追究することができます。しかし、このようなじんま疹は受診される方の数パーセントとわずかです。

原因がわからずに、長期間継続している特発性じんま疹の場合は、採血検査などはほとんど役に立たちません。 ただし、甲状腺疾患や膠原病が疑われるじんま疹の場合は、採血をおこない原因を調べます。

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