更新日:2023.10.08/公開日:2017.3.7
こちらのコンテンツは、院長の豊福一朋が自身のこれまでの研究ならびに経験、関連書籍、学術報告などをもとに独自に作成したものです。将来において当院における治療方法、治療後の処置、使用機器、治療の流れなどについて内容が変更となる可能性があります。院長の経歴はこちらをご覧ください。
肝斑の治療について
私は医学部卒業後、大学、カナダ、米国でメラニン細胞の研究をおこなってきました。ですから、シミ治療は専門分野です。シミは大きく2つに分かれます。メラニンを産生するメラノサイトと表皮の角化細胞の異常による「シミ(そばかす、老人性色素斑、脂漏性角化症)」、メラニン細胞は正常だけども、周囲の環境の異常でメラニン産生が更新している「肝斑」です。「シミ(そばかす、老人性色素斑、脂漏性角化症)」の治療は異常になった細胞をレーザーで破壊すれば終わりです。しかし、肝斑でメラニンを過剰に産生しているのは「正常のメラノサイト」です。その場合、我々メラニンの専門家の考えでは細胞を破壊するレーザーを肝斑の治療に使うのは間違っていると考えます。しかし、美容医療では、納得できる治療の理論はありませんが、肝斑のレーザートーニングがブームでした。最近になってやっと、肝斑のメカニズムがわかってきて、肝斑治療のアプローチができるようになりました。ここでの主体はレーザーでもレーザートーニングでもありません。真皮のリモデリングで治療をおこないます。このことを書いてみました。「なぜか効く」というレーザートーニングは、治療を中止したとたんに肝斑が戻る、白抜けがおこるなどしています。多分10年後には肝斑の治療としては存在していないでしょう。治療には理論が必要と思っています。
このページでは肝斑の原因について詳しく書きました。当院は肝斑を含めたシミ治療を希望される方が多くご来院されます。他院ですでに肝斑の治療をされている方も多く、私は初診で「肝斑の原因をご存じか」お尋ねすることにしています。驚くべきことに、ほとんどの方は肝斑の原因をクリニックで教えてもらっていません。顔を強く洗顔したり、不十分な紫外線対策で何回フォトフェイシャルやトーニングをうけても、肝斑がよくなることはありません。原因が除去できていないのですから。原因を説明しない、あるいは説明できない医師にも問題があると思います。
1.肝斑の定義・症状・原因
肝斑の定義・症状
肝斑は女性の顔面にできる左右対称性シミです。30~50代の女性の顔面、とくに頬骨部、前額、鼻下に左右対称に出現します。色素斑は境界が比較的明瞭で均一な褐色調です。目の周囲が抜けるのが特徴です。
肝斑は両側性にできる色素斑であるソバカス(雀卵斑)や遅発性真皮メラノーシス(ADM)と区別がつきにく場合があります。また、シミ、ソバカス、ADMと同時に存在する場合もあります。
一般に以下の特徴があります。
- 30歳前後からおこる両側性の色素斑で、頬骨部、前額、鼻下に好発する。
- 褐色で比較的均一なびまん性の色素斑である。網目状になってい場合もある。
- 症状に季節的変動があり、夏季に増悪する。
- 女性に多い
- 目の周囲、髪の生え際、眉毛部には色素斑がない。
- 70~80歳以降になり、化粧をしなくなる年齢から軽快する傾向にある。
肝斑の原因
これまでいわれてきた肝斑の原因
教科書には「肝斑の原因はわかっていません。」と書かれています。
だいたい以下のように記載されていることが多いです。
1)経口避妊薬でも出現しやすく、高齢になると自然に消失することから、女性ホルモンの分泌と深い関係がある。
2)多くは妊娠をきっかけに出現する。
3)紫外線の多くなる夏に目立つようになり、冬には薄くなることが多く、紫外線が増悪要因となる。
4)睡眠不足、ストレスでも悪化することがある。
しかし、実態に肝斑の人を診察していると、1)、2)、4)は必ずしも肝斑と関係が深いとはいえないことに気づきます。
私は皮膚科になって30年以上肝斑を含むシミを診察していて、肝斑の人にはある傾向があることに気づきました。それは、「皮膚を擦りすぎている」ということです。
顏の擦りすぎが肝斑の原因
肝斑は女性に多く、化粧をする年代から出現します。女性は20歳はじめから化粧をするひとも多いですが、念入りに化粧をするようになるのは30歳前後です。肝斑の好発年齢と一致します。
化粧品の種類・品目が増え、念入りに化粧をすれば、自然に肌を擦るようになります。 とくに頬骨部(下図①)、前額外側(下図②)、鼻下と顎(下図③)は皮下の脂肪組織が少ない場所で、直下に歯と骨があり、皮膚の可動性が悪い部位です。化粧することで過剰な摩擦が加わることになり、結果として「擦りすぎによる皮膚のバリア破壊」がおこります。
皮膚のバリア破壊により、皮膚には慢性に炎症が続き表皮にメラニンが増加して色素が濃くなり肝斑となります。
肝斑は摩擦により表皮におこる「炎症後色素沈着」といえます。さらに肝斑を隠そうと念入りに化粧することで、慢性の炎症は遷延しさらに表皮のメラニン量が増え肝斑が濃くなったりすると考えています。
当院は新宿区にあるので、アジア系の方が多く住んでいらっしゃいます。東南アジアのある地域(国)から日本に来られた方には、とても濃い肝斑が多くみられます。
生活状況をお聞きしたところ、この地域(国)では洗顔時に強く肌を擦るということがわかりました。
洗顔をやさしくすることで、肝斑は改善しました。洗顔指導をしたことで肝斑が薄くなることは、肝斑と「擦りすぎによる皮膚のバリア破壊」が関連していると確信させてくれます。
肝斑のある方では、顔を擦る傾向があるので、肝斑以外の部分にも摩擦により色素沈着がおきていることが多いのも特徴です。
ほか、紫外線の影響は強いと思います、とくに頬骨部は紫外線の暴露が多い部分です。紫外線が肝斑の増悪因子であることは間違えなさそうです。
私は肝斑の原因を以下のように考えます。
- 洗顔、化粧時に顔を摩擦することでおきる「擦りすぎによる皮膚のバリア破壊」の結果出現する「炎症後色素沈着」である。
- 紫外線は確実な増悪要因である。
摩擦と紫外線が肝斑のもっとも大きな原因
最近の論文では肝斑が紫外線による皮膚の老化やダメージでおこっていると発表されています。肝斑は若くても出現しますが、その本体は皮膚の老化であると考えられます。
ただし、ここでいう「老化」はシワ、シミ、たるみなどの皮膚の老化とは異なります。紫外線ダメージによる真皮に起こった細胞レベルのわずかの異常、表面には色が濃いというだけの症状の出現です。
原因は紫外線による真皮の老化(エイジング)ですが、肝斑としての症状の出現には皮膚の摩擦が大きく関与します。
化粧、クレンジング、洗顔の摩擦によって、(特に頬骨上の)皮膚がうすくなり、そのために紫外線による影響が強く表れるのではないかと考えらています。
肝斑出現のメカニズム
肝斑の原因は1)顔の摩擦と2)摩擦による皮膚の菲薄化、3)紫外線ということがわかってきました。
肝斑のない皮膚の状態
メラニンを産生するメラノサイトは厚さわずか0.2mmの表皮の一番下に存在しています。
メラノサイトから産生されたメラニンのおかげで我々のからだは、地球に降りそそぐ紫外線から守られています。
メラニン産生は表皮の基底細胞、真皮の線維芽細胞、血管内皮細胞から放出されるサイトカインという物質、脳の指令でからだを駆けめぐろ様々なホルモンによってコントロールされています。このコントロールが失われた状態がシミ・ソバカス、肝斑を含めた色素異常症です。
紫外線による皮膚のダメージで肝斑は始まる
肝斑の出現は紫外線によるダメージからはじまることがわかってきました。
では、なぜ、肝斑は手足にできず、顔のなかでも、頬骨上、額の両外側、鼻下・顎など限られた部位に起こるのでしょうか?
これは、これらの部分の皮膚の直下には骨があり、かつクッションになる脂肪が少ないからです。
脂肪が薄いと皮膚は骨上に固定されて、可動性が悪くなります。実際に触ってみてください。頬の比べると皮膚が動きにくいはずです。皮膚を摩擦することで皮膚の角質ははげて薄くなります。
皮膚は正常な状況では表皮の角層のメラニンで紫外線を跳ね返したり、吸収しています。摩擦により表皮の角層が擦れ取れば、皮膚のメラニン量は減少して紫外線の防御能は低下します。
最近では、パソコンのブルーライトも影響しているのではないかと論文で報告されています。ブルーライトは波長が長く紫外線よりはるかに深部まで届きます。
生物に与える影響(生物学的活性)は少ないものの、モニターに向かう時間が長いだけに今度の報告が待たれます。
ブルーライトを予防にするには、市販のブルーライトカットで簡単にできます。
紫外線は真皮の細胞外マトリクスや細胞に影響を及ぼす。
紫外線、とくにUVAは真皮にまで到達し、長い年月の作用ではシミ、シワ、たるみなどの皮膚の老化の原因となります。
肝斑ではこれらの症状が出るずっと前に、20歳前半から皮膚の老化が細胞レベルでおこっていることになります。
老化した線維芽細胞や血管内皮細胞からサイトカインが放出される。
老化した線維芽細胞からは、多数のサイトカインがメラノサイトに向かって分泌されます。
血管内皮細胞からはエンドセリン1という強いメラニン産生物質が分泌されます。
さらに、表皮の基底細胞からもαMSH、エンドセリン1をはじめ、多くのサイトカインがメラノサイトへ向かいます。
表皮と真皮の境にある基底膜も損傷をうけています。これは摩擦が原因なのかもしれません。
老化した線維芽細胞や血管内皮細胞からサイトカインが放出される。
紫外線ダメージをうけた表皮基底細胞、真皮の老化した線維芽細胞や血管内皮細胞から放出されるさまざまなサイトカインにより、メラノサイトのメラニン産生は増加します。表皮にメラニン量は格段に増加して、肝斑の褐色調となります。
基底膜の断裂部からメラニンが真皮に落ちることもあります。真皮内に脱落したメラニンは貪食細胞に取り込まれて、長い時間真皮にとどまります。深いところのメラニンは光の透過性から青みがかった色をしめすので、色は青褐色になります。
肝斑出現のメカニズムから考えられる肝斑の治療方法
肝斑の原因に紫外線により皮膚の老化が関与していることがわかってきました。
これまで説明した皮膚の老化とは具体的には以下のものです。
- 真皮の線維芽細胞の老化
- 真皮の血管内皮細胞の異常
- 細胞外マトリクスの劣化
- 表皮基底膜の断裂と二重化(基底膜ダメージ)
したがって、こららを改善する方法が新しい肝斑の治療方法になります。
表皮と真皮の境の基底膜が存在する領域、線維芽細胞や血管内皮細胞、細胞外マトリクスが存在する真皮に熱を加えて、再生可能なダメージを与えます。
ダメージ後の創傷治癒過程で、紫外線や摩擦で傷んだ領域が再生されます。これを「リモデリング」と呼ばれます。
当院ではフォトフェイシャルとポテンツァという機器にてリモデリング治療をおこないます。
2.肝斑の鑑別診断
肝斑は頬部(特に頬骨部)にできる両側性の色素斑です。
頬骨部に両側性、対称性にできる色素斑には肝斑の他に、後天性真皮メラノーシス(ADM)、ソバカス、老人性色素斑があります。
それぞれ治療方法が違います。確実な診断をつけるのは重要です。
1)後天性真皮メラノーシス(ADM)
別名:遅発性両側性太田母斑様色素斑
遅発性両側性大田母斑様色素斑は20~40歳ころから両側性に出現する色素斑で肝斑と区別しにくい場合があります。
目の周囲(眼輪筋の内側)にまで存在し、時に眼球結膜(白目の部分)にも色素斑があることがあります。
境界が明瞭でないことも遅発性両側性大田母斑様色素斑の特徴です。
色調は肝斑の茶褐色と違い典型的な遅発性両側性大田母斑様色素斑は灰青色ですが、区別が困難な場合が多いです。
色調はまだら模様でこれも色素が均一な肝斑と違うところです。
2)シミ・ソバカスとの区別のしかた
シミ・ソバカスは鉛筆で囲めるような小さな色素斑(黄色で囲んだ部分)です。
一方、肝斑はべたっと均一な色素斑で範囲が大きく、鉛筆で囲もうとしても一部で境界不明瞭な部分があり、きれいに囲めません(赤色で囲んだ部分)。
3.肝斑の一般治療
一般には、トラネキサム酸の内服、ハイドロキノン、トレチノインなどの外用が使用されます。
トラネキサム酸の内服
トラネキサム酸(商品名 トランサミン)は確実に肝斑の治療に有効です。
炎症ではプラスミンという物質が産生され、これが表皮で活性型プラスミンに変換されます。
この活性型プラスミンがメラニン産生を刺激すると考えれていて、トラネキサム酸はこの活性型プラスミンへの変換を抑制するようです。
内服量はいろいろな用量で飲まれていますが、1日500mg(250mg錠では1日2回)で効果がでると思われます。
ハイドロキノンの外用
ハイドロキノンは1940年台から米国で美白目的で使われ始めている物質です。
クリームやローション剤、オイル製剤として使われています。
使用実績は長いだけに、安全性が確立されています。
安全性を考慮すれば、最も安全で効果が高い美白剤とおもっています。
トレチノインの外用
トレチノインはビタミン誘導体で、外用剤で使うと表皮のターンオーバーを促進します。
肝斑の治療ではハイドロキノンとトレチノインを併用して使用することが多いようです。
表皮にターンオーバーが早くなると角層が薄くなり、細胞と細胞の間にすきまがでるのでハイドロキンの浸透がよくなるといわれています。
効果はあるようですが、表皮を薄くするというのは、肝斑の治療の逆行することにもなります。
私もかっては、クリニックで処方していました。
改善はしますが、治療を注意すると元に戻る人が非常に多く、また、長期外用はアレルギー、皮膚炎、赤ら顔になることがあり、現在は処方をしていません。
レーザートーニングの問題点
肝斑は摩擦による炎症後色素沈着なので、表皮にはメラニンが増加しています。
レーザートーニングをおこなうとメラニンが多く含まれている肝斑の表皮は除去され、一時的に肝斑は消失します。
しかし、その後、レーザーにより炎症後色素沈着がおこり、元の状態に戻ります。
レーザートーニングでは、治療間隔を2~3週間に設定して、炎症後色素沈着がおきてきたころに次の照射をおこないます。
それで、レーザートーニングを継続している間は肝斑がよくなったように感じるのです。
したがって、レーザートーニングを止めてしまうと、肝斑は再発することになります。
レーザートーニングでもっとも問題になるのは色素脱失です。レーザーを繰り返し照射することで、表皮のメラノサイトは破壊されていきます。繰り返すことで色が抜けていくのです。
いったんまだら状に色が抜けてしまうとメラノサイトは再生せず、元に戻らないことがあります。
レーザートーニングを繰り返しおこなった方にはよくみられる症状です。
4.山手皮膚科クリニックの肝斑治療方針
当院では肝斑の基本治療は1)スキンケア指導、2)サンスクリーン剤により日焼け止めの徹底、3)トラネキサム酸内服、4)フォトフェイシャルによる治療となります。
基本治療をおこなっていく過程で症状の改善がこれ以上すすまない場合、他院ですでに肝斑の治療をおこなって改善しなかった場合、小じわ、たるみなどの治療と肝斑の治療を同時におこないたい場合などは、ポテンツァによる治療をおこないます。
治療のご希望があれば、肝斑診察カウンセリング時に医師にお申し出ください。
真皮のリモデリング
当院でおこなうフォトフェイシャルもポテンツァも真皮のリモデリングをおこない、肝斑を改善します。
リモデリングとは何か(用語解説)
一般にいわれる「皮膚のリモデリング」ついて説明します。
皮膚は老化すると以下のことがおこります。
- 表皮が薄くなります。
- 真皮では細胞成分(線維芽細胞と血管内皮細胞)が老化します。
- 真皮では細胞外マトリクス(コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸)が劣化します。
- 皮下脂肪が減少します。
これらを改善することが「皮膚の若返り」であり、そのために「皮膚のリモデリング」を起こす必要があります。
リモデリングでは最初にレーザー、超音波で皮下に熱を加えたり、マイクロニードルなどで微細な穴をあけるなど、皮膚に修復可能なダメージを与えます。
皮膚はダメージが与えられると、すぐに再生を始めます。傷んだ組織は吸収され、同時に新しく線維芽細胞が増殖し、新しい血管新生がおこります。
線維芽細胞はコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの細胞外マトリクスを産生し、皮膚は治療をおこなう前と比べ少し若返ります。
このような治療を繰り返しおこなうことにより、老化して皮膚の構造は変化して、シワ、たるみの改善、肌のハリの改善がおこります。
肝斑の治療ではリモデリングで傷んだ真皮を再生する
肝斑での治療は真皮のリモデリングです。フォトフェイシャルなどのIPL、ポテンツァやシルファームなどのニードルRFで表皮下部から真皮を加熱して熱凝固をおこします。
真皮が再生する過程で、老化した線維芽細胞や異常な血管内皮細胞、コラーゲンなどの細胞外マトリクスは、新生した線維芽細胞や血管内皮細胞に入れ替わります。
表皮真皮の境界部でのリモデリングでは断裂したり二重構造になった傷んだ表皮基底層を正常化します。
リモデリングにより、メラノサイトへメラニン産生を促す異常なサイトカインは減少して肝斑は改善します。
1.顔の摩擦を避ける(スキンケア指導)
顔の摩擦を与えることはつぎのことを引き起こします。
- 角層が薄くなり紫外線や外界からの刺激(化粧品など)に過敏になる。
- 表皮と真皮の境界部に摩擦がおきて、表皮基底膜の断裂がおこる。
- 摩擦は皮膚炎の原因ともなり、炎症からメラニン産生が高まる。
顔を擦らない=摩擦をしない ことは可能です。以下のことに気をつけてください。
- 肌につける美容液や化粧品の品数を減らしください。品数を減らすことで顔への摩擦を減らせます。
- 泡洗顔にして、顔をこすらず、泡をこすって洗顔します。
- シャワー時に顔の直接シャワーをかけないでください。パックは使用しないでください。
- ピーリングやマッサージはおこなわないでください。※肝斑ピーリングは治療の理論に逆行します。
2.サンスクリーン剤(日焼け止め)を使う
サンスクリーン剤はファンデーションに日焼け止めが入っているものでは不十分です。できるだけ日焼け止め単剤を使用してください。
サンスクリーンの持続時間(表示されているSPFが保てる時間)は、なんとわずか2~3時間です。
朝、出勤時に塗って、夕方、太陽がでている時間に帰宅されると紫外線は皮膚に浸透しています。
わずかな時間でも積み重ねで皮膚の紫外線老化が進行していきます。
夕方に買い物や帰宅で外出されるときは、サンスクリーン剤の塗りなおしをおこなってください。
3.フォトフェイシャルM22
フォトフェイシャルで肝斑が悪化しました という方がいます。
当院では肝斑治療にフォトフェイシャルM22を用います。
「えっ! 他院ではフォトフェイシャルで肝斑は悪化するので、レーザートーニングを勧められました。」、「以前、肝斑にフォトフェイシャルをおこなって悪化しました。」
肝斑治療で当院を受診された方では、このような経験をされた方が少なからずいらっしゃいます。
なぜ、このようなことがおこるのでしょうか?それは、フォトフェイシャルで肝斑のメラニンやメラノサイトにダメージを与えようとした、あるいは出力が高かったのでダメージを与えてしまったからです。
フォトフェイシャルM22の一番の目的は、真皮のリモデリングです。真皮に修復可能な熱ダメージをあたえて、紫外線によって影響を受けた線維芽細胞や血管内皮細胞を新しい細胞に入れ替えるのです。
同時にフォトフェイシャルの光は必ずメラニンに反応するので、当然くすみは改善します。
肝斑を悪化させないように真皮のリモデリングをおこすフォトフェイシャルの設定が治療の成否を左右します。
フォトフェイシャルM22についてはこちらをご覧ください。
※肌のトーンが濃い方はフォトフェイシャルM22が使用できない場合があります。
4.内服療法
フォトフェイシャルと同時にトラネキサム酸(250mg錠)を1日2回内服します。
5.治療例
スキンケア指導、紫外線防御の徹底、トラネキサム酸内服、フォトフェイシャルM22による治療で改善された当院の症例となります。
6.ポテンツァ(ニードルRF)
ポテンツァはマイクロニードルRF(高周波)という治療器です。
肝斑をはじめ、ニキビ跡、毛穴、小ジワ、肌質改善に効果があります。
治療原理はマイクロニードルという微細な針を皮下へ穿刺し、針先からRF(高周波)エネルギーを放射します。
高周波は表皮と真皮の境界部付近(表皮基底膜)と真皮層に直接熱エネルギーを与えて熱凝固をおこします。
熱凝固を修復する過程で基底膜の修復と真皮のリモデリングがおこり、肝斑の改善をおこないます。
ポテンツァについてはこちらをご覧ください。
5.肝斑治療のながれ
1 予約
「予約サイト」へいき、選択メニューボタン
から 「肝斑・肌のくすみ」のご相談 を選択ください。
診察はすべてWEBからご予約をお取りいただく予約制です。クリニック受付ならびにお電話では予約の受付はいたしておりません。
2 初診・初回相談・再相談
- 肝斑治療のご相談は、自費診療です。自費診察料金は1,650円(税込)です。
- 前回相談日ならびに前回レーザー治療から1年以上経過している方は、再度診察(再相談)が必要です。
- 当院は方針として、診察と治療は同時に行っておりません。治療までに2回のご来院が必要です。
3 治療スケジュール
効果判定
当院の治療で効果がでているかは、定期的にビジアという画像診断機で解析します。
同時に医師が一眼レフでの写真撮影もおこないます。
メラニン解析
ビジアによるメラニンの状況の解析ができます。
赤み解析
皮膚の摩擦で表皮が薄くなっていると、真皮の軽度の炎症が起こっていることがあります。
また、表皮が薄くなると真皮上層の血管が透けて見えるようになり、肝斑の色素が濃い部位に一致した赤ら顔になっていることが多いです。
解析では、顔を擦らなくなったことで、表皮の厚さが回復して、肌が健康になり赤ら顔がよくなっていることも観察できます。
フォトフェイシャル照射スケジュール
ポテンツァ照射スケジュール
現在準備中
肝斑治療料金
基本治療料金
初回治療 | 2回目治療 | メンテナンス | |
フォトフェイシャルM22 | ¥25,300 | ¥25,300 | ¥25,300 |
トラネキサム酸内服(2か月) | ¥2,460 | – | 症状により処方 |
こちらをご覧ください。
6.肝斑のセルフケア
日常の生活でできる肝斑のセルフケアを書きます。
肝斑を治すのはなかなか大変です。以下のことをおこなってみて、効果が少ないときはクリックを訪ねてはいかがでしょうか。
市販薬(トランシーノ)
トラネキサム酸はクリニックでの処方薬ですが、肝斑治療の保険適用はありません。
第一三共ヘルスケアから発売されている「トランシーノ」にはトラネキサム酸が配合されています。
配合量では1日量で750mgとなっているので十分な量です。
トラネキサム酸以外にはビタミンCやビタミンB6などが配合されています。
ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンCは抗酸化剤なので、チロシンというアミノ酸からメラニンが合成される過程に働いてメラニン産生を抑制します。
ビタミンCは紫外線により皮膚で発生する活性酸素を中和します。これは肝斑の治療にはプラスです。
ビタミンCを内服した場合、ビタミンCは血中に取り込まれてますが、酸素の消費量が多い臓器で使われます。脳、肺、副腎です。皮膚にまで届くビタミンCはわずかとなります。
私は肝斑にはビタミンC外用がよいと思います。ビタミンC誘導体が入ったローションで皮膚に集中的にビタミンCを浸透されるのは、確実なメラニン産生抑制になります。
サンスクリーン剤(日焼け止め)と帽子、日傘
日焼け(紫外線による作用)は肝斑の増悪因子といわれて続けてきました。最近は肝斑の主な原因が紫外線と摩擦ともいうこともわかってきました。
紫外線は肝斑のみでなく、皮膚の老化、免疫力の低下をもたらします。
サンスクリーン剤はほとんどの人が毎日朝1回外用されていると思います。サンスクリーン剤にはSPFとPAという紫外線防御効果SPF50とかPA++という記載で表示されています。この効果の持続時間は意外に短く2~3時間だそうです。朝だけ塗って、夏の5時とかまだ太陽が照っている時間に外出すると、おもわず紫外線にさられています。夕方の外出には塗りなおしをお勧めします。
また、帽子、日傘を上手につかってください。曇りの日でも紫外線のUVAは大量に降り注ぎますがからご注意を。
顏を擦ることに注意
摩擦は肝斑の最大の原因です。摩擦自体が肝斑をつくりますし、摩擦によって角層が剥がれて薄くなった表皮では、肌自体の紫外線防御効果が低下します。
洗顔時に泡洗顔で皮膚をこすらないように洗うことは重要です。私も肝斑の方には徹底してもらっています。
また、クレンジングで念入りに肌をこすることも注意が必要です。クレンジングにはオイル、ジェル、クリーム、ミルク、それにリキッドがあります。
リキッドタイプはシートやコットンに浸して使うため、肌との摩擦を生みやすいといわれています。
ジェルタイプをおすすめしていますが、化粧品会社が擦らないメイクおとしを販売しています。
生活のストレス対策
肝斑の原因はおもに、摩擦を紫外線と書いていますが、ホルモンバランスも関係します。
生活上のストレスは自律神経を乱すのでホルモンバランスは変わります。しかし、ストレスを避けろというのは「言うは易く行なうは難し」です。
私は入浴と十分は睡眠がよいと思います。40度のお湯に20分つかるとからだの細胞は「ヒートショックプロテイン(heat shock protein)」を産生します。これは脳に働き、昼間の生活のストレスでダメージを受けた脳細胞を修復することがわかっています(マウスを用いた実験)。
ブルーライト対策
2017年に出た肝斑の論文をみると、肝斑の原因の一つにテレビやパソコンのモニターが放出するブルーライトがあるというのはショックでした。
私も含めて、実にたくさんの人が毎日何時間も、それも何年、何十年とブルーライトを浴びているからです。
光の波長は短いほど、物質へのダメージが大きく、波長が長いほど奥まで浸透します。むかし、私は医学生だったことは波長の短い紫外線UVBは皮膚癌や老化の原因になるといわれてきました。波長の長いUVAはそこまで問題ない(生物学的活性が低い)といったのが医学の常識でした。しかし、現在ではUVAは生物学的活性が低くても、年中、曇りに日も降りそぎます。現在は皮膚の老化は長期に浴びてきてUVAが原因といわれています。
では、ブルーライトは?我々はすごい時間浴びています。生物学的活性は微々たるものでしょうが、今後は注意しないといけないと思っています。
個人的にはパソコンにブルーライトカットのアクリル板をつけるようにしました。
7.肝斑治療のよくある質問
準備中