更新日:2023.10.29/公開日:2024.1.22
こちらのコンテンツは、院長の豊福一朋が自身のこれまでの研究ならびに経験、関連書籍、学術報告などをもとに独自に作成したものです。将来において当院における治療方法、治療後の処置、使用機器、治療の流れなどについて内容が変更となる可能性があります。院長の経歴はこちらをご覧ください。
外傷性刺青とは
外傷性刺青(がいしょうせいしせい)とは、皮膚に傷を負い、異物が皮膚内(真皮)に残ったまま傷が治癒した後、残った異物の色が透見される状態です。
真皮に色素を入れる刺青(入れ墨)と同じメカニズムから「外傷性刺青」または「外傷性タトゥー」といわれます。
外傷性刺青の症状
さまざまな形の外傷性刺青
外傷性刺青の原因
外傷性刺青は皮膚の傷から真皮層に異物が入り込むことで起こります。傷が治っても異物の色が透見されます。
外傷性刺青の原因となるもので、最も多いのは黒鉛です。
子供の頃、皮膚に鉛筆やシャープペンが刺さったあとに黒、青黒の色素が皮膚に残ることがあります。
鉛筆やシャープペンの芯の黒鉛が異物として真皮にのこっています。
次に多いのが事故です。アスファルト道路で転倒した場合、アスファルト(原油由来の炭化水素)、砂や非常に細かな石片などが皮膚に残ってしまうことがあります。
海でウニを踏んで、足底に外傷性刺青が残った方もいらっしゃいました。
ウニのトゲは非常に細く誤って素足で踏んだ際に、皮膚に刺さり、残ったトゲの先端が真皮に迷入することがあります。
数個あればメスで切開してトゲ抜きピンセットで取り出すことが可能ですが、多数の場合はすべて取り出すのは不可能です。
このような時、傷が治ってから外傷性刺青となった場合はレーザーをつかって治療することがあります。
治療法
主な治療方法
外傷性刺青では真皮に黒鉛、アスファルトのタールなどが存在しています。レーザーはこれらを細かく破壊します。
レーザーは波長によって、ルビー、アレキサンドライト、Nd:YAG(ヤグ)レーザーがあります。これらのレーザーは各波長で色素への吸収や皮膚の深達度が違います。
Qスイッチルビーレーザーは黒や青色への吸収がよく、外傷性刺青の治療では保険適用となっています。
Qスイッチルビーレーザー
Qスイッチルビーレーザーの特徴に関しては「Qスイッチルビーレーザー」を参照してください。
治療のメカニズム
治療の流れ
※顔面・首に存在するものが治療対象です。
予約
「予約サイト」へいき、選択メニューボタン
から 「外傷性刺青」のご相談 を選択ください。
外傷性刺青レーザー治療の期間と費用
外傷性刺青のレーザー治療(保険診療)は11月初旬のクリニック移転後に再開いたします。
よくある質問とその回答
質問をクリックすると回答があらわれます。
Q1. レーザー治療でどれくらい消えますか?期間、限界について教えてください。
外傷性刺青の原因になっている異物の深さと厚さにより治療期間が異なります。
異物が真皮に厚く存在している場合、上層の異物から下層に順に治療されます。複数回の治療が必要なことがあります。
レーザーで治療できる深さに限界があります。レーザーが届かない深さに異物の残存すると治療後にも色が薄く残る可能性があります。
この場合、レーザーの出力を上げたり、繰り返し治療することは危険です。表皮のメラノサイト(色素細胞)が破壊され、回復しない白斑になります。
Q2. 治療時に痛みはありますか?
麻酔なしだと痛みがあります。当院では局所麻酔の注射で無痛にする場合と氷で冷やして皮膚の感覚を鈍くしてレーザーを照射する場合があります。
Q3. 目の回りも治療できますか?
眼瞼の治療では、コンタクトシェルという眼球の保護具を使用します。使用の際しては麻酔の点眼をおこなので、コンタクトレンズの経験がない方でも楽に装着ができます。装着は医師がおこないます。
Q4. 治療後のメイクはできますか?
治療後2~3日でかさぶたができますので、その上からメイクをしていただいてかまいません。
顔面の治療当日から4日目まで治療箇所への『基礎化粧品の塗布』『日焼け止めの使用』『お化粧』はできません。治療部位以外ではメイクは可能です。
Q5. 口唇でも治療できますか。口唇の外傷性刺青の治療をレーザーでおこなった場合、白くなると聞きましたが本当ですか?
口唇の治療は可能です。 口唇が白くなるというのは、照射したレーザーにより口唇粘膜下の異物が発熱して周囲の口唇組織に熱が波及した結果熱傷となり、その後瘢痕になったことが考えられます。
レーザーの照射時に照射範囲を小さくして適切な出力で照射することで避けられると思います。
口唇赤色が熱傷の原因になることも考えられます。口唇は血管に富んだ組織で、それゆえ赤みがあります。そしてその赤みは血液中の酸化ヘモグロビンの色が関係しています。レーザーの波長が赤色(酸化ヘモグロビン)へ吸収されると照射部に熱傷と起こして、そこが瘢痕となり白くなる可能性はあります。
ルビーレーザーの波長は694nmで酸化ヘモグロビンのはほとんど吸収されません。
アレキサンドライトレーザーの波長は755nmで酸化ヘモグロビンへの吸収はわずかです。
一方Nd:ヤグレーザーの波長は1064nmで酸化ヘモグロビンによく吸収されます。Nd:ヤグレーザーでの治療は熱傷を起こす可能性があります。熱傷をおこした場合、白い瘢痕になる可能性があります。