更新日:2021.8.29/公開日:2020.7.19
このコンテンツは山手皮フ科クリニック 院長 豊福一朋が100%オリジナルで書いています。
フォトフェイシャルM22
IPLとはIntense Pulsed Lightの略で、コンピューターで制御された高エネルギーの連続した波長の光を用いた美肌治療のことです。当院の光治療(以下、IPL)ではルミナス社のフォトフェイシャルM22(以下、M22)を使用します。ルミナス社は世界で最初にIPL機器を発売し、「フォトフェイシャル」としてIPLを世界に広めました。M22は肌の色調や治療目的に応じて最適なフィルターを選択することで、効果的かつ安全に治療を行うことができます。しかしながら、特定の症状・疾患に対して最も高い効果が得られる治療方法としては、レーザーが第一選択となります。そのため、当院では「くすみや肌質の改善」「肝斑の改善」「レーザー治療前・レーザー治療後の肌の色調改善」を主な治療対象としてM22を使用します。また、皮膚に蓄積されたメラニンの除去に効果的な640nmのフィルターのみを使用します。M22の施術は看護師が行います。 施術後の反応・効果として、シミ・ソバカスが取れたり、薄くなることはほとんどありません。くすみの原因となる真皮上層から表皮に存在するメラニンを除去することができるため、お顔全体の肌の色調が明るくなります。また、真皮を加熱することにより皮膚の弾力性が向上し、肌のハリ感をご実感いただけます。施術直後は、シミ・ソバカスが高密度で存在する部分には若干のほてり感が生じる場合がありますが、赤く腫れ上がったり、強いヒリヒリ感が生じることはありません。
フォトフェイシャルM22の特徴
山手皮フ科クリニックでのM22の治療対象
-
- くすみの改善
- 肌質の改善
- 肝斑の改善
- シミ・ソバカスレーザー治療後のメンテナンス
- シミ・ソバカスレーザー治療のプレトリートメント(くすみを除去しレーザー治療可能な状態にする)
M22の特徴
フィルターを用い治療目的に合わせての設定が可能
肌の色に合わせて、細かく照射の条件設定を変えることが可能です。M22の最大の特徴は6種類にフィルターを持っていることです。
フィルター(nm) | 照射する波長帯(nm) | 適用疾患 |
515 | 515~1200 | シミ、ソバカス、くすみ |
560 | 560~1200 | 総合的美肌治療(フォトフェイシャル) 美白 |
590 | 590~1200 | 赤ら顔 |
615 | 615~1200 | 赤ら顔 |
640※ | 640~1200 | 肝斑、美白 |
695 | 695~1200 | 肝斑、タイトニング、しわ |
フィルターを使用することで治療に必要のない波長帯をカットすることができます。
例えば、640nm(ナノメーター)のフィルターを使用すると、640nm未満の波長帯はカットされ、640~1200nmの波長帯を治療に使うことができます。
これにより、出力を上げても皮膚の熱傷を避けることが可能になります。640nmのフィルターでは肝斑と美白効果に対する最良の効果を発揮できるようになります。
パルスによる設定
M22は照射方法を1)シングルパルス、2)ダブルパルス、3)トリプルパルスの3つのモードが選択できます。シングルパルスでは出力の100%を1回で照射します。シミ、ソバカス、くすみに最大限の効果を発揮します。ダブルパルスでは出力の50%ずつを2回にわけて照射します。治療効果と表皮保護のバランスをとった安全な照射方法である反面、効果は減弱します。トリプルモードでは33%ずつ3回の照射をおこないます。皮膚にとってはやさしい治療ですが、効果が落ちます。当院ではすべての治療にシングルパルスのみを使用します。これまでライムライトやMAX-GというシングルパルスのIPL治療器を長年使用してきた経験から、シングルパルスでも安全に治療をおこなうことができます。光治療では、1発あたりのエネルギー(熱量)が大きいほうが、皮膚の深くにまで高いエネルギーを届けることができるためです。
フォトフェイシャルM22によるシミ・ソバカス治療のプレトリートメント
プレトリートメントとは
当院では顔全体のシミ・ソバカスのレーザー治療をおこなっています。この際、顔にくすみ、肝斑があるとレーザー治療の障害となります。事前にプレトリートメントをおこない、お肌の調子を整えた後にレーザー治療をおこなうと、良好な結果が得られます。
プレトリートメントの内容
- フォトフェイシャルM22 2回(2か月間隔)
- トラネキサム酸内服
- スキンケア指導
- 紫外線防御の徹底
くすみ、肝斑がある時のレーザー治療の危険性
顔のシミ・ソバカスレーザー治療をおこなう時、もっとも治療効果が良いのはくすんでいない白い肌で肝斑がなく、シミ・ソバカスの色が濃いときです。肌色とシミ・ソバカスのコントラストがあるほど効果は高くなります。
くすみ、肝斑がある場合、以下のようなことが起こりやすくなり、シミ・ソバカスのレーザー治療の妨げとなります。
- くすみによりレーザーの効果が減弱する
- レーザー照射により肝斑が悪化する
- レーザー治療後に炎症後色素沈着、炎症後紅斑が起こりやすくなり、消えるまでに長い時間がかかる
- レーザー治療後に色ムラが起こる
くすみによりレーザーの効果が減弱する
シミ・ソバカスの治療に用いるQスイッチアレキサンドライトレーザーの波長755nmの光はメラニンに吸収されます。くすみがあるとレーザー光は表皮に増えたメラニンに吸収され、治療の目標となるシミ・ソバカスの原因細胞に届くまでに減弱してしまいます。結果、治療効果が不十分となります。くすみに負けじとレーザーの出力を上げると炎症後色素沈着の遷延化など治療後のトラブルの原因となります。
レーザー照射により肝斑が悪化する
明らかな肝斑があるとレーザー治療により肝斑は悪化します。もっとも心配なことは白抜けの出現です。肝斑の部分ではメラニン細胞が活性化してメラニンを多くつくっています。このような活性化メラニン細胞はレーザーに感受性が高く、レーザー光を吸収して破壊され表皮から排除されます。そうなると肝斑の中にメラニン細胞が減少した部分がまだらに出現して点状に白抜けした部分が出現します。白抜けした部分は長期間かけてもとの状態に戻る場合と、ずっと白い状態が続く場合があります。
レーザー治療後に炎症後色素沈着、炎症後紅斑が起こりやすくなり、消えるまでに長い時間がかかる
シミでは多くの場合で、ソバカスでは一部の方において、レーザー治療後に一過性の炎症後色素沈着がおこります。通常は治療後3~6か月で消失します。くすみがある状態でレーザー治療を行うと炎症後の色素沈着が濃くなり、消えるまでの時間が延長します。炎症後の色素沈着が消えたあとに炎症後紅斑が残る場合がありますが、これもくすみがあると起こりやすく遷延化しやすくなります。
レーザー治療後に色ムラが起こる
肌色が濃い薄いにかかわらずシミ・ソバカスがなく、顔の肌色が”均一”であれば、きれいな肌といえます。顔のシミ・ソバカスはベースの肌色より濃く、色彩の”不均一”を出現させます。シミ・ソバカスを治療するということはこの”不均一”を是正し、肌色の均一性を取り戻すこととなります。レーザー治療はシミ・ソバカスを治療することに優れている一方、顔のくすみ、肝斑を改善することはできません。シミ・ソバカスがきれいに取れても、顔には下の図のような新たな不均一性が出現します。シミ・ソバカスが消失してきれいな肌色が出現した一方、くすみ、肝斑が残っている状態です。
事前にプレトリートメントを行うことによって、色ムラの出現を避けることができます。
IPL(M22)とレーザー(Qスイッチアレキサンドライトレーザー)の効果比較
フォトフェイシャルM22治療目的別の治療間隔と回数
目的 | 間隔 | 回数 |
くすみ改善・美白・美肌 | 2~4か月 | 効果維持のため継続 |
肝斑の改善 | 2か月 | 2回実施後要診察 |
レーザー治療前のプレトリートメント | 2か月 | 2回実施後診察見積もり |
シミ・ソバカスレーザー治療後のメンテナンス | 3~6カ月 | 効果維持のため継続 |
フォトフェイシャルM22治療の流れと注意事項
施術の流れ
- 洗顔をして、お化粧や日焼け止めを完全に落としていただきます。
- 髪の毛、眉、(必要時)ホクロをテープで保護いたします。
- 専用のゴーグルで目を保護いたします。
- 光の透過を高めるためジェルを塗ります。
- M22を照射します。照射時に軽く輪ゴムではじかれたような痛みがあります。照射の時間は、お顔全体を2周して約10分間です。
- ジェルをお拭き取りいたします。
- 施術直後よりお化粧をしてお帰りいただけます。
肝斑について
M22の施術により、お顔のくすみが改善すると、これまで目立たなかった肝斑が顕在化することがあります。当院では、M22開始時に肝斑がある方には、開始と同時にトラネキサム酸の内服をしていただいております。また、M22治療期間中に肝斑の顕在化がみられた時点で、トラネキサム酸の内服を開始していただきます。
注意事項
- 施術後は、基本的に日常生活に制限はありません。ほてり感が強い場合、施術当日はシャワー浴をおすすめします。
- お化粧は施術直後より可能ですが、照射範囲へのマッサージや強い摩擦はお控えください。
- 顔面に過度の日焼け、皮膚炎(ニキビは除く)、湿疹、痒み、カサブタ、炎症後色素沈着がある場合は、M22をお受けいただくことができません。
- 安全かつ効果的な治療を行うために、M22治療期間中は日焼けを避け、低刺激性の日焼け止めを使用してください。日焼けをした後や大事なご予定がある前は最低2週間あけていただいております。
- 治療前後3日間はトレチノイン、一部のニキビ治療薬(デュアック配合ゲル、ベピオゲル、ディフェリンゲル、エピデュオゲル)、ピーリング石鹸の使用を中止してください。
- 治療後3日間はハイドロキノンの使用を中止してください。
- M22後、まれに毛穴に一致した発赤や湿疹、毛包炎が起こる場合があります。特に毛が多い部分に起こりやすいです。ステロイド外用剤を処方いたしますのでご来院ください。
- フォトフェイシャルM22後の経過診察は診察代、薬剤費ともに自費診療となります。
- 治療部位の異常(水泡形成・赤み・腫れ・痒み・痛みがある等)や、ご心配なことがある場合は速やかにご連絡いただき受診をしてください。ご自身での自己判断で異常発生より1週間以上放置された場合、適切な処置が行えず対応できなくなる場合があります。
- 光線過敏症、妊娠中、過去に金製剤の抗リウマチ薬内服歴がある方、イソトレチノイン内服中および内服終了から30日を経過していない方は治療をお受けいただけません。同意書の提出をもって、該当しないことの申告となります。
- 治療における患者様の効果に対する期待は様々です。さらに治療における患者様の皮膚の反応も様々です。医療には多くの不確実、不確定の要素が含まれており、医療行為に確実性はありません。したがって、治療に際してはこの点をご理解いただき、治療前の患者様のご期待に対してご満足いただけない場合でも、既に実施された治療費の返金はいたしておりませんのであらかじめご了承ください。
- 初診(初回相談)または最終治療のいずれか直近の日付から1年を経過した後、治療開始または治療再開をご希望の場合は、初診から治療開始となります。
フォトフェイシャルM22料金
フォトフェイシャルM22の料金はこちらをご覧ください。
フォトフェイシャルM22治療の概要
診療区分 | 自由診療 |
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照射出力等 | 10~14J/c㎡ |
治療期間及び回数 |
目的に応じて照射は2~6か月おき |
施術によるリスク・副作⽤ | ごくまれに照射部分に一致した毛包炎が生じることがあります。 |
施術に要する費⽤ | 1回 ¥25,300 |
承認区分 | フォトフェイシャルM22は国内承認機器です。 |
注)治療には、国内未承認医薬品または医療機器を⽤いた施術が含まれます。
治療に⽤いる医薬品および機器は当院の医師の判断の元、個⼈輸⼊⼿続きをおこなったものです。
個⼈輸⼊において注意すべき医薬品等についてはこちらをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1.html