そばかす(ソバカス、雀卵斑 じゃくらんはん)・シミ|新宿 高田馬場 山手皮膚科クリニック

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1.そばかす(ソバカス)雀卵斑(じゃくらんはん)とシミの基本知識と治療

  • そばかすとシミの違いとは
  • シミ、そばかすが出来る原因とその仕組み
  • シミとそばかすの種類と特徴 肝斑、そばかす、色素斑、老人性など

2.そばかす(ソバカス)治療でような機器を選択するか

  • Qスイッチレーザー
  • ピコレーザー
  • フォトフェイシャルなどのIPL(光治療)
  • QスイッチレーザーとIPL(光治療)の効果比較
  • そばかすとシミの治療ではどのように機器を選択するか
  • Qスイッチアレキサンドライトレーザー
  • IPL(光治療)フォトフェイシャルM22
  • そばかすとシミのレーザー治療のながれ
  • 診療内容

3.山手皮膚科クリニックでのそばかす(ソバカス)治療について

  • Qスイッチレーザー
  • フォトフェイシャル(IPL)によるプレトリートメント
  • そばかすとシミのレーザー治療の流れ
  • カウンセリング予約
  • 症例
  • ダウンタイム

4.そばかす(ソバカス)とシミの再発について

  • そばかすとシミを取った後、再発を防ぐ方法
  • なぜそばかすとシミは再び出てくるのか?

5.そばかす(ソバカス)とシミ取り治療の疑問解決

  • 一度出来たそばかすとシミは治せるのか?
  • そばかすとシミ取りレーザーは痛いのか?
  • そばかすとシミ取り後のダウンタイムはどの程度か?
  • ピコレーザーとの比較は?
  • 各治療法の取り扱い範囲は?

6.まとめ

7.そばかすレーザー治療料金

1.そばかす(ソバカス)、雀卵斑(じゃくらんはん)とシミの基本知識と治療

このページではそばかす(ソバカス)にお悩みの方へ、基本的な知識と治療方法に関してご説明いたします。

そばかすとシミの違いとは

そばかすとは

映画などに出てくる白人の子供には、そばかすが多いですね。このようなそばかすは医学用語では「雀卵斑(じゃくらんはん)」といわれます。点在する色素斑がスズメの卵の表面様であることからきています。

後述するシミ(老人性色素斑や脂漏性角化症)は紫外線による皮膚の細胞の遺伝子変化が原因とわかっていますが、そばかすの原因はわかっていません。

アイルランド人の赤毛とそばかす

私はカナダ、米国でメラニンの研究をおこないましたが、研究者の間では「アイルランド人の赤毛(Irish Redhead)」の話は有名です。赤毛の人にはそばかすも多く、この話がそばかすの原因ともつながります。

そばかすは毛髪が赤毛、ブロンドの白人に多いとされ、ヨーロッパでも北に行くほど多くなります。北欧、アイルランドあたりがもっとも多いといわれています。アイルランドでは10~30%程度が赤毛でそばかすが多くの人に見られます。ヨーロッパ以外では赤毛になる人の割合は0.06%ですから、アイルランドでの10~30%の赤毛の比率は高いといえます。そして以前から赤毛とそばかすは遺伝子に関係があると考えられています。

実際に赤毛の原因はメラニン生成に関与する遺伝子(メラノコルチン-1受容体)に変異があることが明らかになっています。そばかすにもメラノコルチン-1受容体遺伝子が関係していると考えられています。赤毛は昔、北に住んでいた白人におこった遺伝子の変異から始まります。皮膚や髪の毛の色をつくるメラニン産生に関する遺伝子に突然変異が起こったとが考えられます。外界との交流が少なくかつ狭いコミュニティーではこれらの遺伝子変異は蓄積して保持されていきます。アイルランドでは昔から住んでいたケルト人の間でこれが起こり、現在まで保持されていると考えられています。ちなみに小説「赤毛のアン」の主人公アン・シャーリーにはそばかすが多いと描かれていますが、彼女はアイルランド系で間違いないと思います。小説の舞台となったプリンス・エドワード島にはアイルランド移民が多く、アイルランドのことわざや迷信、アイルランドの歴史上の人物が登場します。私もアイルランドの首都ダブリンにいったことがありますが、赤毛の人が多いと思いました。

白人のそばかすと日本のは症状の出方と推移が違うので同じものとは考えませんが、日本人のそばかすにも遺伝子変異が関係してると考えられています。そばかすがある人は色白の人が圧倒的に多いのと、両親、兄弟姉妹にも頻繁にそばかすが見られるからです。遺伝子は単一の遺伝子の変化ではなく、様々な遺伝子複合した変化からそばかすができているのでしょう。赤毛に関係するメラノコルチン-1受容体遺伝子異常は常染色体劣性遺伝(両親ともに変異遺伝子をもっている場合に赤毛になる)ですが、日本人でのそばかすは常染色体優性遺伝と考えられています。そばかすが多い人では両親いずれかにそばかすが多いことも常染色体優性遺伝と考える理由です。

アイルランドに多い赤毛の人はそばかすが多い

日本人のそばかす

白人のそばかすは「夏季に多くなり、また数も多くなり、色も濃くなる。冬季には小さくなり、数も減少し、色も薄くなる」、「成人(30歳)以降、徐々に消退する傾向がある。」とありますが、日本人では、このようはそばかすはありません。

日本人でもそばかすは夏季と冬季で若干の色調の差がありますが、これはそばかすがない部分でも同様に起こり、日差しによる通常の皮膚の色の変化によるものだと思っています。また、成人以降、数色調が減ることはなく、むしろ数が増加していくことが多いと思います。

したがって、日本人のそばかすは白人のものとは異なるのかもしれません。しかし、家族内でそばかすが多い人がみられることから遺伝があることは間違いないと思います。

シミとは

みなさんは、シミにはたくさんの種類があるのをご存知でしょうか。

一般にいう「シミ」は老人性色素斑や脂漏性角化症です(狭義のシミの定義)。ほかに広範囲に濃い色素の増強がみられる肝斑や、太田母斑や後天性真皮メラノーシス(ADM)をシミに含めることもあります(広義のシミの定義)。

シミ・そばかすの分類

シミ・そばかすの分類

老人性色素斑は長年の紫外線による皮膚のダメージで表皮の角化細胞やメラニン細胞(色素細胞)が遺伝子異常をおこしてできるものです。このなかで多発する小型の老人性色素斑はそばかす型日光色素斑とも呼ばれ、そばかすとの鑑別が難しいことがあります。

脂漏性角化症は長年の紫外線暴露、加齢によってできる、盛り上がったシミです。皮膚から盛り上がるので皮膚腫瘍として分類されることもあります。

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)はそばかすの似ていることがあり、治療に用いるレーザーの反応がそばかすと異なるので、鑑別が重要となります。

そばかすとよく似た色素斑(シミなど)

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)

頬の両側にこのような小さな色素斑がパラパラと散らばっているとそばかすと間違われて診断されていることがあります。

原因は真皮に存在する真皮メラノサイトが原因です。通常は真皮にはメラニン産生するメラノサイトはないか、あってもメラニンを産生していません。

後天性真皮メラノーサイトーシスについてはこちらをご覧ください

ADM

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM) 後天性両側性太田母斑様色素斑ともいいます。そばかすや肝斑と間違って診断されて治療されている場合があります。

そばかす型の老人性色素斑

一見、そばかすに似ています。20歳後半に出現し、鼻にあまりないことからそばかす型の老人性色素斑と診断しました。

幼少期には色素斑がなかったことがそばかすと異なります。

紫外線による皮膚の加齢によるシミです。中学、高校、大学での野外活動で紫外線にあたる時間が長かった人にでる傾向があります。

そばかす型の老人性色素斑の写真

そばかす型の老人性色素斑:一見、そばかすに見えますが、日光暴露による老人性色素斑です。そばかすに適用するレーザーの出力だと落ち残ることがあります。事前の鑑別が大切になります。

そばかす、シミが出来る原因とその仕組み

紫外線等による肌へのダメージ

太陽光が皮膚にあたると、皮膚の表面の角層で5~10%が反射されます。それから皮膚のメラニンに散乱、吸収されます。皮膚の角層の最下部である基底細胞層に届くのはわずかで、その下の真皮にはさらに少ない量が届きます。紫外線ではUVBはほとんどが表皮までしか到達せず、真皮まで到達するのは10%程度です。UVBは細胞のDNAに変異を起こします。DNAの変異はすぐに酵素によって修復されますが、からだ側はつねに大量の変異を修復する過程でまれに修復エラーがおこります。この修復エラーが遺伝子の傷となって、細胞に変化をおこします。

UVAは波長が長く、真皮まで到達します。UVAはおもに真皮の劣化を起こします。真皮の線維芽細胞を老化させて、細胞外マトリックス(コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などかならる基質の劣化させます。

これらの変化が、シミ、シワ、たるみなど皮膚の老化を招きます。長期にわたる紫外線暴露は皮膚がんの発生要因にもなります。

シミ(老人性色素斑)場合

シミの代表である老人性色素斑では、紫外線によりメラニン細胞(メラノサイト)、表皮基底細胞に異常(形質転換)がおこります。最近では線維芽細胞の老化も一因であるとわかってきています。

皮膚が長期にわたり紫外線を浴びると、表皮のメラニン細胞に異常がおこり、メラニン色素(以下、メラニン)を過剰の産生するようになります。これをメラニン細胞の形質転換といいます。

さらに角層をつくる表皮基底細胞も形質転換をおこし、メラニン細胞を活性化する因子(インターロイキン1α、MSH)を常に産生するようなります(表皮基底細胞の形質転換)。活性化したメラニン細胞は絶え間なくメラニン産生を続け、角層には過剰なメラニンが蓄積します。

老人性色素斑では、おそらくメラニン細胞、表皮基底細胞の両方に形質転換がおこっているので、治療にはレーザーで双方を破壊する必要があります。

さらに、紫外線により真皮に老化がおこると、老化した線維芽細胞からメラニン細胞を刺激する物質が表皮にむけて分泌されメラニンの過剰産生がおこることもわかってきました。

レーザーは真皮にも熱を与えるので、真皮の「リモデリング」がおこり、老人性色素斑の再発を予防します。

他院での治療ですが、老人性色素斑を数回にわたって治療するところがあります。これは、レーザーを用いても老人性色素斑の治療が難しいことを意味しています。表皮基底細胞、メラニン細胞、老化線維芽細胞の3つの同時に取り除く必要があるかでしょう。

真皮の「リモデリング」とは(▶をクリっく)
  • 真皮は線維芽細胞、マクロファージ、肥満細胞、血管、神経からなる「細胞成分」とコラーゲン、エラスチン、基質(ヒアルロン酸など)からなる「間質成分」の2つに分類されます。細胞外マトリックスとは生体内で細胞を取り巻いている物質の総称ですが、真皮ではコラーゲン、エラスチン、基質(ヒアルロン酸など)が「(真皮の)細胞外マトリックス」と呼ばれます。細胞外マトリクスは皮膚の弾力性の維持、水分の保持をおこなっています。 皮膚が長期に紫外線にさらされることで、細胞外マトリクスは劣化して、皮膚の弾力性が低下して、乾燥傾向になります。「細胞成分」である線維芽細胞は紫外線老化します。老化した線維芽細胞は表皮のメラニン細胞にむけて、異常なシグナルの伝達をおこなうようになります。このシグナルでメラニン細胞は過剰なメラニンを産生し、大量のメラニンは角化細胞へ受け渡され、角層のメラニン量が増えシミとなります。レーザー、RF(高周波)、超音波などを使って真皮に熱凝固をおこすと、からだは皮膚のダメージと受け取り真皮の線維芽細胞を活性化させて、老化した線維芽細胞は新しい線維芽細胞に置き換わります。そしてメラニン細胞へのシグナル伝達が正常化します。この過程を「皮膚のリモデリング(再構成)」と呼び、美容医療での皮膚の若返りの原理です

 

そばかすの場合

そばかすでは、メラニン細胞が過剰なメラニンを産生することが原因です。紫外線が関係していることは間違いないのですが、メラニン細胞自体に異常がおこっているかは不明です。レーザー治療では老人性色素斑よりも弱い出力で効果がでることから、角化細胞の形質転換はおこっていないと思います。

治療にはメラニン細胞のみをターゲットとして治療すればよいので、安定した治療効果を得ることができます。

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2.そばかす(ソバカス)治療でどのような機器を選択するか

皮膚科、美容皮膚科、美容形成外科のホームページでそばかす治療をみると、じつにさまざまな治療方法が記載されています。

そばかす治療によく用いられるレーザーとIPL(光治療)の機種

レーザー IPL(光治療)
  • Qスイッチレーザー
      アレキサンドライト(波長755nm)
      ルビー(波長694nm)
      Nd:YAG(ヤグ)(波長1064nm)
  • ピコレーザー
      波長 532nm
      アレキサンドライト(波長755nm)
      Nd:YAG(ヤグ)(波長1064nm)
  • フォトフェイシャルM22
  • ライムライト
  • アキュチップ
  • フォトシルクプラス
  • サイトンBBL
  • フォトソール(フォトRF)
  • オーロラ(フォトRF)

それゆえ、「そばかすの治療ではなにがベストか」という質問はよくいただきます。

シミ・そばかす治療をはじめ、美容にかかわる治療はクリニック、医師で違いがあります。皆さんご自身のポリシーで治療しているので、どの治療方法がベストかは一概にいうことはできません。また、「シミ・そばかすが少しでも薄くなれば良い」、「完全に消したい」など治療を受ける側のニーズもさまざまですので、一般論としてどれがベストかを論じるつもりはありません。

このサイトでは私、豊福一朋がこれまでの経験とIPL、レーザーの作用機序や治療原理などを踏まえて、私見として述べさせていただきます。

Qスイッチレーザー ピコレーザー IPL
フォトフェイシャルなど
694/755nm
ルビー/アレキサンドライト
1064nm
Nd:ヤグ
532nm 755nm
アレキサンドライト
1064nm
Nd:ヤグ
△~○ ◯~◎ △~○

Qスイッチレーザー

そばかすはQスイッチレーザーの治療1回で完全に消えるので、これ以外に選択肢はないとおもっています。

Qスイッチレーザーにはアレキサンドライト、ルビー、Nd:ヤグの3つのレーザーがあります。

アレキサンドライト、ルビー、Nd:ヤグの波長は694nm、755nm、1064nmです。そばかす治療での効果の差はレーザーの波長とメラニンの吸収度で決定します。

メラニンの吸収度ではルビー、アレキサンドライト、Nd:ヤグの順で、そばかすの治療効果はこの順番です。実際の治療では、ルビー、アレキサンドライトともにそばかす治療での反応は高く、同程度の治療効果をもっています。

一方、Nd:ヤグはメラニンへの吸収度が低く、効果が低いことがわかります。

レーザーと吸光度の関係

レーザーと吸光度の関係:茶色の線(メラニンの吸光度曲線)がそれぞれのレーザーの波長の線(点線で縦線)と交わるところが、吸光度(物質がレーザーに吸収される度合い)を示している。高い位置で交わるほど、そのレーザーはメラニンをもつ色素性疾患に効果があることになる。レーザートーニングに使用されるNd:ヤグレーザーのメラニンへの吸収はアレキサンドライト、ルビーと比べて低いことを示している。

Qスイッチアレキサンドライトレーザーでのそばかす当院治療例

クリックで鮮明に表示される

上記写真をクリニックすると拡大画像がご覧いただけます。

ピコレーザー

ピコレーザーは刺青(タトゥー)の除去に開発されたレーザーです。ピコレーザーの波長は532nm、755nm、1064nmの3種類があります。

ピコレーザーの波長で532nmはもっともメラニンへの吸収がよく、シミの治療適してます。ほかに酸化へモブロビンへの吸収が高いので、照射時に内出血がおこりやすいのが弱点です。

ピコレーザーでアレキサンドライト755nmの波長をもつものは、そばかすの治療に適しています。Qスイッチレーザーと同等の治療効果があります。

1064nmはNd:ヤグのレーザーとなります。メラニンへの吸収度が低く、そばかすを治療した場合、1回ですべては消えません。数回の照射をおこないます。複数回の治療で色むらがおこりやすく、シミ・そばかすの治療には適さないと考えています。

フォトフェイシャルなどのIPL(光治療)

フォトフェイシャルに代表されるIPLでは、そばかすを薄くすることが可能です。

IPLはレーザーと比較してダウンタイムが軽いことは最大の利点と思っています。欠点はIPL単独ではそばかすは消えないことです。当院にそばかす治療でいらっしゃる患者様は、他のクリニックでIPL治療を受けられた方もいます。そのクリニックでは「○○回施術すれば、そばかすは消えますよ」といわれたそうですが、IPLでは何回治療をおこなっても、そばかすが”消える”ことはありません。

アキュチップはIPLで発生する光線を小さい面積に集中させてシミ・そばかすを治療する方法です。通常のIPLより効果があり、消えるシミ・そばかすはありますが、再発も多くみられます。

QスイッチレーザーとIPL(光治療)の効果比較

QスイッチレーザーとIPLの色素性疾患、美肌、赤ら顔治療での効果比較表

私はそばかすを消すのに、長年Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーを使用しています。また、クリニックにはQスイッチ・レーザールビーもあります。ピコレーザーは購入していません。理由はピコレーザーは入れ墨(タトゥー)の治療では圧倒的にQスイッチレーザーよりも優れているものの、シミ・そばかす治療では優位性が認めにくいからです。実際、シミ・そばかす治療でQスイッチレーザーよりピコレーザーが優れているかどうかでは、さまざまな意見があり結論は出ていません。結果がでるまで様子をみています。

※学会や論文では、これまでシミ治療において、ピコレーザーがQスイッチレーザーより優れているという報告が出ていません。むしろ、最近ではシミ治療ではQスイッチレーザーの方がシミ治療効果において”確か”であるという意見が増え始めています。

ここでは、Qスイッチレーザー(アレキサンドライト、ルビー)とフォトフェイシャルなどのIPL(Intensive Pulse Light)での効果を比較してみます。

効果 Qスイッチレーザー IPL(アキュチップなども含む)
そばかす △(アキュチップでは〇)
老人性色素斑
脂漏性角化症 ×
肝斑(かんぱん) × △~◎
くすみ
美肌効果
赤ら顔

※ △の理由はIPLで顔の色素斑(シミ、そばかす、肝斑)を治療する際に、シミ治療モードでの照射をおこなった場合、肝斑が悪化することが多いからです。肝斑に用いるためには適切な波長のフィルターを用いて、出力を調整して照射して◯~◎となります。このモードではシミ治療の効果が弱くなるのが欠点です。

IPLの重要性

上の表ではフォトフェイシャルを含むIPLは色素性疾患の治療には、物足りないように見えます。しかしIPLは当院ではシミ・そばかすのレーザー治療できれいに仕上げるためににはとても重要な機器です。

当院ではフォトフェイシャルをそばかす治療前のプレトリートメントとしておこないます。シミ・そばかす治療をおこなう時に注意しないといけないのは、「肝斑」と「くすみ」です。肝斑が濃い状態、くすみでは表皮にメラニンが増えた状態で、レーザー治療効果を妨げます。照射したレーザーが表皮のメラニンに吸収されて、シミ・そばかすの原因となるメラニン細胞に届きにくくなるからです。「肝斑」と「くすみ」をレーザー治療前にフォトフェイシャルで改善してから、シミ・そばかすのレーザー治療おこなうのが当院の治療の特徴でもあります。

そばかすの治療では他にどのように機器や治療方法を選択するか

レーザートーニングについて

レーザートーニングはそばかす治療に向いていないと思っています。

レーザートーニングはQスイッチ・Nd:ヤグレーザーの照射エネルギー密度を低くしたもの(「低フルエンス」と呼ばれます)で、顔全体に照射するとシミや肝斑がうすくなるとの宣伝文句でたくさんのクリニックでおこなわれています。最近はピコレーザーを低フルエンスで照射することもおこなわれているようです。

レーザートーニングは低フルエンスなので、ダウンタイムが少ないとうたわれています。しかし、ダウンタイムが少ないとうことは治療効果も少ないということです。

そばかすの治療でレーザートーニングと何回もおこなっているようですが、レーザートーニングでそばかすが薄くなることはあっても、消えることはありません。また、短い間隔で繰り返しNd:ヤグレーザーを照射すると、低出力であっても正常なメラニン細胞が傷んでしまいます。そばかす、シミ、肝斑でレーザートーニングを繰り返し治療される方にはまだら、不均一に色抜けしている方を多く見ます。

そして、Nd:ヤグレーザーの1064nmの波長は、アレキサンドライトの755nm、ルビーの694nmにくらべてメラニンへの吸収性が低いです。あえてNd:ヤグレーザーをそばかすの治療に使うのはいかがなものでしょうか。

そばかす

他院で肝斑にレーザートーニングを頻回おこなった。レーザー照射を繰り返すことにより色素細胞が破壊されて白抜けが出現した部分と残存した肝斑の色調で”まだら”になっている。

ピーリングについて

ピーリングは肌表面に蓄積した古い角質を剥がれやすくする薬剤を塗り、肌のターンオーバーを促す施術です。

施術により肌のターンオーバーが促進されることから、皮膚の組織に蓄積されていたメラニン色素が徐々に排出されていきます。

そばかすでは、原因となる表皮のメラニン細胞(メラノサイト)から過剰に産生されるメラニンが、角化細胞に受け渡されて、角層蓄積してそばかすの色をつくっています。

ピーリングでは角層を化学的にはがすので、角層のメラニン量は減り、そばかすが薄くなります。残念ながらそばかすを消すまでにはいりません。

そばかすの原因細胞を除去できないので、ピーリングを止めると、しばらくして元通りのそばかすの色調の戻ります。

イオン導入について

イオン導入は、皮膚に弱い電流を流すことによって電気の勾配(片側プラス、もう片方をマイナスにする)をつくり。イオン化された物質を皮膚に浸透させる方法です。

ビタミンC誘導体がイオン導入では使用され、ビタミンC誘導体は皮膚の奥深くに浸透し、そこでビタミンCに変換されます。

ビタミンCは表皮メラニン細胞(メラノサイト)のメラニン産生を抑制します。すでに存在するメラニンの色も薄くします。

ピーリングと同様にそばかすの原因細胞を除去できないので、消すことはできません。イオン導入を止めると、しばらくして元通りのそばかすに戻ります。

エレクトロポレーションについて

エレクトロポレーションは特殊な電気パルスを利用して、瞬間的に肌層に孔をあける方法です。

この穴から、美肌、美白の有効成分を皮膚の真相まで浸透させることができます。

ビタミンC誘導体はもちろん、イオン導入では浸透させることができなかったトラネキサム酸などの浸透が可能です。

ビタミンC誘導体やトラネキサム酸は美白成分なので、そばかすを消すことはできませんが、薄くすることは可能です。

施術を止めると、しばらくして元通りのそばかすに戻ります

ハイドロキノン(HQ)について

ハイドロキノンは、1940年台から米国で美白剤として使われはじめ、現在では世界中で美白・美肌治療に使われている歴史の長い安全性が確立された美白剤です。

ハイドロキノンはつぎの3つの効果で美白剤として高い効果を持っています。

  1. メラニンを合成するtyrosinase(タイロシネース/チロシナーゼ)という酵素の活性を抑制する。
  2. 過剰なメラニンを産生する異常なメラニン細胞を破壊する。
  3. メラニンの凝集したメラノソームを分解する。

これらの作用によりメラニン色素が生成されにくくなり、そばかすの色は薄くなります。しかし、そばかすを消すまでにはいたりません。

そばかすの場合、顔の広範囲に外用する必要がありますから、結構な量をつかうことになります。

副作用としては、刺激感、接触皮膚炎に注意が必要です。

外用を中止すると、しばらくして元のそばかすの色調に戻ります。

内服薬について

そばかすを薄くする内服薬としては、肝斑のホームケア(セルフケア)に使われるビタミンCやトラネキサム酸があります。

ビタミンCやトラネキサム酸は理論的に美白成分ですが、内服で効果があるかについては疑問です。

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3.山手皮膚科クリニックのそばかす(ソバカス)治療について

当院のそばかす治療の特徴はそばかすをQスイッチレーザー1回の照射で全部消します

綺麗にそばかすを消すために、Qスイッチレーザーの治療前に2回のフォトフェイシャルによるプレトリートメントをおこないます。

Qスイッチレーザー

当院のそばかす治療では、Qスイッチアレキサンドライトレーザーを使用しています。

Qスイッチアレキサンドライトレーザーは50ナノ秒という非常に短い時間(1ナノ秒 = 1/1,000,000,000秒)でレーザーを発振(照射)することができるため、標的組織に限局した治療が可能となります。

効果的な出力(エネルギー)を用いることで、そばかすの原因となる「メラニンを過剰に蓄積した原因細胞」のみを熱破壊することができます。

そばかすの原因となる「メラニンを過剰に蓄積した原因細胞」がレーザー照射により熱破壊されるため、レーザー照射で消えたそばかすの再発はありません。

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーは開院以来使っていて、現在のは2代目です。使い慣れていて重宝しています。

最近はQスイッチ・ルビーレーザーも購入しました。そばかすへの効果は同じでアレキサンドライト、ルビーとも1回でそばかすを消します。

くすみが強い場合は、最初にQスイッチアレキサンドライトレーザーを使えないため、フォトフェイシャルM22という光治療(IPL)をおこなってから、レーザー治療をおこないます。くすみが治療のさまたげになる理由は次の「フォトフェイシャル(IPL)によるプレトリートメント」に書きました。

Qスイッチレーザーの写真

左:Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー「アレックス」. 右:Qスイッチ・ルビーレーザー「ナノスターR」

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーについての詳細はQスイッチアレキサンドライトレーザーをご覧ください。

Qスイッチ・ルビーレーザーについての詳細はQスイッチ・ルビーレーザーをご覧ください。

フォトフェイシャル(IPL)によるプレリートメント

プレトリートメントは表皮でのレーザーの減衰を軽減する

そばかすのレーザー治療では皮膚がくすんでいるときれいな治療結果を得ることができません。

そばかす治療に使うレーザーはアレキサンドライト、ルビーレーザーです。それぞれ755、695nm(ナノメートル)の波長でメラニンに吸収されやすい性質をもっているので、シミ・そばかすなどの色素性疾患の治療の使用されます。

レーザーを照射すると、ある一定の割合で表皮のメラニン細胞に吸収され、残りが表皮基底層(表皮の一番下の層)にあるそばかすの原因となるメラニン細胞まで到達します。

そばかすの原因となるメラニン細胞は大量にメラニン(色素)を産生しています。レーザーはメラニンに吸収され、熱に変換されて瞬時に超短時間の間、高温となり熱は細胞にまで伝わります。そしてそばかすの原因細胞は破壊されます。こうして原因細胞がなくなり、そばかすが消失します。なお、正常なメラニン細胞(下図には記載していません)はメラニン産生量が多くないのでレーザーで破壊されにくく残ります。また、正常のメラニン細胞の一部が破壊されても、あらたに正常なメラニン細胞がほかの場所から移動してきて空白を埋めます。そばかすの原因となるメラニン細胞があった場所も、正常なメラニン細胞が移動してきて置き換わります。

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