更新日:2023.5.25/公開日:2017.3.8
VビームⅡ
VビームⅡとは
VビームⅡはシネロン・キャンデラ社のレーザー機器です。血管性の病変に最も効果が高いレーザーです。
VビームⅡは日本の厚生労働省の承認を得ている医療機器になります。
当院でVビームⅡを用いて治療をおこなっている疾患と施術
- 単純性血管腫※1,2
- 毛細血管拡張症※1,3
- 老人性血管腫
- サーモンパッチ・正中部母斑※1
- Vフェイシャル
※1 単純性血管腫、毛細血管拡張症、サーモンパッチ・正中部母斑は保険適用になります。
※2 当院では頸部より上の病変の治療をおこないます。
※3 東京都社会保険支払基金の見解では、顔全体、頬部全部など広範囲の毛細血管拡張症は保険適用外となります。鼻、鼻翼周囲、鼻下、頬部の狭い範囲は保険適用とすることの見解です。
VビームⅡの特徴
色素レーザー『VビームⅡ』(シネロン・キャンデラ社)の光の波長は595nmであり、血液中の赤血球に含まれる酸化ヘモグロビンに効率よく吸収され、血管病変を治療することができます。
治療のメカニズム
①色素レーザー『VビームⅡ』の波長595nmのレーザー光は、毛細血管内を流れる血液中の赤血球に含まれる酸化ヘモグロビンに吸収されます。
②吸収されたレーザー光は熱エネルギーへと変換され、赤血球は発熱します。
④赤血球内で発生した熱は周囲へ拡散します。
発熱した赤血球から拡散した熱により毛細血管内壁は熱損傷、熱破壊を受けます。
損傷を受けた毛細血管は閉塞して、熱破壊された血管組織は、膠原線維の増殖とマクロファージによる貪食などにより正常組織におきかえられます。
このようにして、血管病変は治療されます。老人性血管腫以外の血管病変では1回の治療ですべての血管を治療することはできず、3~5回繰り返します。
治療できる深さと治療の限界
色素レーザー『VビームⅡ』によるレーザー治療を行っても、医師による治療、看護師施術に関わらずレーザー照射箇所の毛細血管拡張症を完全に消失させることができない場合があります。レーザー光が届く深さには波長ごとに限界があるからです。レーザー光の波長と皮膚への深達度(レーザー光が到達する皮膚表面からの深さ)は決まっています。色素レーザー『VビームⅡ』の595nmという波長は、皮膚表面から1.5~1.7mmの深さまで届くとされています。しかしながら、正常組織に過剰な損傷を与えずに治療ができる深さは皮膚表面から0.6mm~1mm程度までです。出力(パワー)を上げてもこの深達度は変わりません。治療効果がみられなくなってきたからといって、治療のたびに出力を上げていくことは効果が望めないだけでなく、正常組織を損傷する危険性が著しく高くなります。
レーザーの波長と皮膚への深達度
光はレーザー波は波長が長いほど、皮膚の深い層に浸透します。595nmのレーザー波(下の図では緑色のレーザー波)は皮膚の真皮まで届きます。単純性血管腫、毛細血管拡張症、赤ら顔の血管病変の主体は真皮ですので、VビームⅡは治療に適しているといえます。一方、Nd:YAGレーザーの1064nmのレーザー波はより深い皮下組織まで届きます。皮膚の深いところにある静脈の拡張を治療することができます。しかし、この波長は水にも吸収されるため、熱傷をおこしやすいのが欠点です。
ダイナミッククーリングディバイス(DCD)
レーザーの熱から表面の皮膚を守るのが内蔵のダイナミッククーリングディバイス(DCD)という冷却装置です。レーザー照射の直前に冷却ガスを皮膚表面に吹き付けて、その次の照射されるレーザーの熱から表皮を守ります。このDCDにより安全に治療することが可能となっています。
症例写真(当院症例)
♦鼻の毛細血管拡張症
♦頬部の蜘蛛の巣状の血管拡張症
♦頬部の蛇行状の血管拡張症
♦額の正中部母斑(サーモンパッチ)
費用VビームⅡによるレーザー治療は単純性血管腫・毛細血管拡張症に限り保険適用となります。保険診療ではおよそ3ヵ月に1回の照射となります。
単純性血管腫・毛細血管拡張症の治療費用
面積(単位 ㎠) | 保険点数 | 自己負担額(30%) |
---|---|---|
10㎠未満 | 2,170点 | ¥6,510 |
10㎠以上20㎠未満 | 2,670点 | ¥8,010 |
20㎠以上30㎠未満 | 3,170点 | ¥9,510 |
30㎠以上40㎠未満 | 3,670点 | ¥11,010 |
40㎠以上50㎠未満 | 4,170点 | ¥12,510 |
50㎠以上60㎠未満 | 4,670点 | ¥14,010 |
60㎠以上70㎠未満 | 5,170点 | ¥15,510 |
70㎠以上80㎠未満 | 5,670点 | ¥17,010 |
80㎠以上90㎠未満 | 6,170点 | ¥18,510 |
90㎠以上100㎠未満 | 6,670点 | ¥20,010 |
100㎠以上110㎠未満 | 7,170点 | ¥21,510 |
110㎠以上120㎠未満 | 7,670点 | ¥23,010 |
120㎠以上130㎠未満 | 8,170点 | ¥24,510 |
130㎠以上140㎠未満 | 8,670点 | ¥26,010 |
140㎠以上150㎠未満 | 9,170点 | ¥27,510 |
150㎠以上160㎠未満 | 9,670点 | ¥29,010 |
160㎠以上170㎠未満 | 10,170点 | ¥30,510 |
170㎠以上 | 10,670点 | ¥32,010 |
保険点数算出方法) 照射面積が10平方センチメートルを超えた場合は、10平方センチメートル又は その端数を増すごとに所定点数に500点(自己負担分¥1,500)を加算します。ただし、8,500点(自己負担分¥25,500)の加算が限度となります。
東京都社会保険支払基金の通達(2020年2月)では広範囲の毛細血管拡張症には健康保険の用をしないとのことです。
おおよそ30平方センチメートル以下の毛細血管拡張症、例えば、鼻全体、尾翼周囲と鼻下などは健康保険の対象となります。
Vフェイシャルの料金はこちらをご覧ください。
詳細は「Vフェイシャル」のページをご覧ください。
V ビームレーザー治療について
血流や血管の太さ,深さなど症状をチェックして、レーザー治療が可能かどうかを診断します。*血管腫のレーザー治療は症状を改善させるものであって完全になくなるものではありません。
治療間隔・回数・費用について
- レーザー料金は照射面積によって変動します。
- 肉眼で確認できる範囲よりも、血管の存在範囲は広いため、患者様の想定されている面積よりもレーザー照射面積は広くなる場合があります。
- 照射面積や治療箇所に関わらず、保険治療での照射間隔は3か月+1日です。
- 同一箇所に対する目安の治療回数は3~5回です。
- 正常組織への影響を考慮し、同一箇所への色素レーザー治療は、他院での治療回数を含めて原則5回を限度としておりますが、毛細血管拡張症に限り、5回治療後も時間の経過とともに症状が出現することがあるため、同一箇所に6回目以降の治療をご希望の場合、6か月間隔で治療を行います。
- 他院での治療回数がすでに5回を超える場合は、最終治療から6か月を経過後に当院での初回治療を行います。当院での初回治療後に明らかな効果がみられないときにはそれ以上の治療は行いません。
- 眼瞼周囲にレーザー照射を行う場合、レーザー光から眼球を保護するレーザー専用のコンタクトシェルを使用します。コンタクトシェルを使用する場合、コンタクトシェル使用料と抗菌点眼薬代として税込3,000円を頂戴いたします。
レーザー照射のながれ
- 洗顔:照射部のお化粧や日焼け止めは完全に落としていただきます。
- 眼球保護:専用のゴーグルを使用します。コンタクトシェルを使用する場合は、麻酔点眼液を点眼後に医師が眼瞼内に挿入します。
- レーザー照射:照射ごとに冷却ガスが皮膚表面に噴射され、皮膚を保護し痛みを緩和します。照射時の痛みはありますが、安全に治療を行うため麻酔は使用せずに実施します。
- 照射後の処置:照射部位に抗炎症作用のある軟膏を塗布します。その後、アイスノンで5~10分間冷却して終了となります。ご自宅での冷却は不要です。
照射後の反応・処置・スキンケアについて
- 治療当日は、入浴、飲酒、運動はお控えください。シャワー浴は可能です。
- (毛細血管拡張症)治療箇所へのお化粧は翌日から可能です。基礎化粧品の塗布は、治療当日晩の洗顔後から可能です。
- (単純性血管腫・サーモンパッチ)治療後4日間1日2回朝晩の洗顔後に軟膏を塗布していただきます。軟膏を塗布する期間は、治療箇所への基礎化粧品・日焼け止めの塗布、お化粧はできません。
- 照射部へのマッサージや強い摩擦は少なくとも1週間はお控えください。
- 治療後レーザー照射箇所に発赤、膨疹、局所的に内出血(紫斑)や点状皮内出血が生じることがあります。内出血(紫斑)や点状皮内出血が生じた場合、完全に消退するまでに通常1~4週間ほどかかります(多くの方が2週間以内に消退します)。
- 治療箇所の表皮に強く炎症が生じた場合、炎症後色素沈着がみられる(皮膚が茶色くなる)ことがあります。炎症後色素沈着は3~6か月で消退します。
- レーザー光の形状が円形であり、スポット中央のエネルギー密度が高くなっているため、照射直後の膨疹や発赤はややまばらな状態となります。
- まれに水ぶくれができます。水ぶくれができた場合、治療箇所が瘢痕となる可能性が高くなります。すぐにご連絡いただき受診をしてください。
注意事項
- レーザー治療の1か月後に経過診察にご来院いただきます。経過診察にご来院いただいていない場合、次回のレーザー治療は行えません。
- 治療希望箇所に過度の日焼け、肝斑、炎症後色素沈着、炎症後紅斑、皮膚炎、湿疹、痒み、カサブタがある場合、治療をお受けいただけません。
- 安全に治療を行うために、治療期間中は日焼けを避けてください。日中外出時は日焼け止めを必ず使用してください。日焼けをした後や大事なご予定がある前は少なくとも2週間あけていただいております。
- 治療前後3日間は、一部のニキビ治療薬(デュアック配合ゲル、ベピオゲル、ディフェリンゲル、エピデュオゲル)、ピーリング石鹸の使用を中止してください。
- 治療箇所が顔面の場合、治療効果を減弱させるため、VビームⅡによる治療期間中はトレチノインやレチノール配合化粧品の使用をお控えください。
- 光線過敏症、妊娠中、過去に金製剤の抗リウマチ薬内服歴がある方、イソトレチノイン内服中および内服終了から30日を経過していない方は治療をお受けいただけません。同意書の提出をもって、該当しないことの申告となります。
- 治療後にレーザー照射箇所の異常な赤み、腫れ、痒み、痛みなど、ご心配な症状がある場合は速やかにご連絡いただき受診をしてください。自己判断で異常発生より1週間以上放置された場合、適切な処置が行えず対応できなくなることがあります。
- レーザー治療は人為的に熱傷を生じさせ治療対象を破壊または変性させるものであるため、治療後には、発赤、灼熱感、痛み、痒み、水疱、炎症後色素沈着などの症状が見られる可能性があります。また、色素脱失、瘢痕を生じる可能性が全くないわけではありません。
- 治療における患者様の効果に対する期待は様々です。さらに治療における患者様の皮膚の反応も様々です。医療には多くの不確実、不確定の要素が含
- まれており、医療行為に確実性はありません。したがって、治療に際してはこの点をご理解いただき、治療前の患者様のご期待に対してご満足いただけない場合でも、既に実施された治療費の返金はいたしておりませんのであらかじめご了承ください。
- 初診(初回相談)または最終治療のいずれか直近の日付から1年を経過した後、治療開始または治療再開をご希望の場合は、初診から治療開始となります。