更新日:
2023.10.01/公開日:2017.3.7
このコンテンツは山手皮フ科クリニック 院長 豊福一朋が100%オリジナルで書いています。
サーモンパッチ・正中部母斑
生まれたばかりの赤ちゃんの額中央に平たい紅斑(赤あざ)である正中部母斑のなかの「サーモンパッチ」かもしれません。サーモンパッチとはどういうものなのか、症状、原因、治療法、費用についてご説明します。
サーモンパッチ・正中部母斑の症状
「正中部母斑」は生まれたばかりの赤ちゃん(新生児)から乳児初期にかけてからだの正中部に生じる紅斑(赤あざ)を総称した病名で、新生児の20~30%にみられます。
眉間、前額正中(おでこ、額の真ん中)、上眼瞼内側(うわまぶた、目頭)、人中(鼻の下)、項部(うなじ、頸部のうしろ)に存在します。
特徴は境界がはっきりしない、赤色にむらがある隆起しない(平坦な)紅斑です。
ポートワイン母斑(単純性血管腫)は境界鮮明、いちご状血管腫は隆起していることで見分けることができます。
この正中部母斑のなかで顔面にできるものは「サーモンパッチ」と呼ばれ、紅斑(赤あざ)の色がサーモン(鮭)に似ていることが由来です。
サーモンパッチの大部分は生後1年半以内、遅くても3歳ころまでに自然に消えると教科書には記載されていますが、実際は成人になっても薄くなって残る方がけっこういらっしゃいます。
一方。項部(うなじ)にみられる紅斑は「ウンナ(Unna)母斑」と呼ばれ、半数の人は成人期まで残ります。成人期まで残ったウンナ母斑はその後も残ります。
皮膚の真皮毛細血管の増加と拡張で皮膚が赤くなった紅斑(赤あざ)で、泣いた後やお風呂のときなどは毛細血管が拡張して赤みが濃くなりますが、これは生理的な反応で心配はいりません。からだが冷えればもとに戻ります。
サーモンパッチ・正中部母斑の原因
正中部母斑、サーモンパッチ、ウンナ母斑の原因は皮膚の真皮毛細血管の増加と拡張です。
なぜできるのかについてははっきりとしたことはわかっていませんが、遺伝の影響などがあるのではないかと考えられています。
サーモンパッチ・正中部母斑の治療
自然に消えることが多いので、なにもせずに経過をみます。外用剤、内服薬で効果があるものはありません。
サーモンパッチでは3歳を過ぎても赤みが残った場合、ウンナ母斑では気になった場合は治療が可能です。
また、治療せずに経過をみていく場合、色味が気になるときはカバーマークが便利です。マーシュフィールド社 のカバーマークは特に優れています。
♦レーザー治療
波長595ナノメートルの色素レーザーが治療の第一選択となります。
当院ではシネロン・キャンデラ社のVビームⅡで治療を行います。1カ月以上あけて3~6回の照射を行います。
治療例
30歳代 女性。生下時から額に赤あざがあり、成人になっても消退しませんでした。
2カ月おきに3回の照射をおこない消失しました。
治療前:額正中部のサーモンパッチ
照射直後(1回目)
色素レーザー(VビームⅡ)を照射した直後の写真。炎症がおこっています。炎症は後に赤紫色の紫斑となって、1週間ほどで消失します。
治療終了後
3回の照射でサーモンパッチは消失しました。
治療の流れ
予約
診察はすべてWEBからご予約をお取りいただく完全予約制です。クリニック受付ならびにお電話では予約の受付はいたしておりません。
「予約サイト」へいき、選択メニューボタン
から 「サーモンパッチ」のご相談 を選択ください。
初診・初回相談(来院1回目)・再相談
- サーモンパッチ・正中部母斑のレーザー治療をご希望の方は、先ず「保険レーザー治療 カウンセリング」の診察にご来院いただいております。診察時に診断と治療方法の説明をおこないます。
- 前回相談日ならびに前回レーザー治療から1年以上経過している方は、再度診察(再相談)「保険レーザー治療 経過診察」が必要です。
- 当院は方針として、診察と治療は同時におこなっておりません。レーザー治療までに2回のご来院が必要です。
- 必要時、診察前に洗顔または部分的な洗浄をお願いしております。範囲が狭い場合は、診察室でお化粧を拭き取らせて頂くことがあります。
- 当院では、個包装のメイク落とし、洗顔料、化粧水、乳液、日焼け止め、使い捨てタオルとヘアバンドをご用意しております。診察後にお化粧直しをご希望の場合は、患者様ご自身にてご用意願います。
- 診察・診断をおこない、医師がサーモンパッチ・正中部母斑の治療について説明いたします。
- 治療希望部位の面積を計測し、おおよその治療面積をお伝えいたします。※実際の治療面積は、治療時に確定します。
- レーザー治療を前提とした診察・相談・治療の実施について、患者様の年齢制限を設けております。ご相談及び施術ともに、満19歳以上の方を対象とさせていただきます。
治療(来院2回目)
- 初診・初回相談・再相談の後に治療が可能となります。
- 保険での治療が可能です。治療は医師がおこないます。
- 照射面積や治療箇所に関わらず、保険診療での照射間隔は3か月+1日です。
費用
費用VビームⅡによるサーモンパッチ・正中部母斑の治療は保険適用となります。
VビームⅡによるサーモンパッチの治療費用
面積(単位 ㎠) | 保険点数 | 自己負担額(30%) |
---|---|---|
10㎠未満 | 2,170点 | ¥6,510 |
10㎠以上20㎠未満 | 2,670点 | ¥8,010 |
20㎠以上30㎠未満 | 3,170点 | ¥9,510 |
30㎠以上40㎠未満 | 3,670点 | ¥11,010 |
40㎠以上50㎠未満 | 4,170点 | ¥12,510 |
50㎠以上60㎠未満 | 4,670点 | ¥14,010 |
60㎠以上70㎠未満 | 5,170点 | ¥15,510 |