更新日:2023.4.5/公開日:2017.3.8
このコンテンツは山手皮フ科クリニック 院長 豊福一朋が100%オリジナルで書いています。
イボは、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV;human papillomavirus)が皮膚に感染してできます。
イボのウイルスは正常の健康な皮膚には感染できないのですが、小さな傷などがあるとそこから皮膚に入り込んでイボをつくります。
一般には外傷を受けることの多い手足や外陰部にできやすく、アトピー性皮膚炎の子供では特に引っ掻くことの多い肘・膝窩にもできます。
有病率は約1%、100人に1人はイボがあるといわれています。
若年ほど多く、米国の報告で15~24歳で1.5%という報告があります。
日本では外来患者の約5%という報告があります。
若年層では割合が高く6-10歳で23%、11~15歳で17%となります。
イボの治療
イボレーザー治療に関しては自費診療となります。こちらをご覧ください。
1)液体窒素による冷凍凝固(イボ冷凍凝固法)(保険適用)
保険適用での標準治療です。
日本皮膚科学会の治療ガイドラインでは推奨度A(おこなうように強く勧められる)の治療方法です。
液体窒素を浸した綿棒や液体窒素スプレーでイボを冷凍凝固します。
冷凍により皮膚に炎症が起こり、からだの免疫が活性化してイボを排除します。1~2週間に1回の頻度で行います。痛みを伴うのが欠点ですが、確実性があり最も良い方法です。
液体窒素をスプレーで噴出させて、イボを治療する方法もあります。先端部の噴出口の直径を変えることができ、いろいろなタイプのイボを治療することができます。
顔や頚部に多発するイボでは、治療によりイボはなくなっても、液体窒素を浸す綿棒の形に色素沈着(炎症後色素沈着)をおこすことが多いのが欠点です。
液体窒素による冷凍凝固の料金
保険点数 | 自己負担額(30%の場合) | |
いぼ冷凍凝固法(3ヶ所以下) |
210点 | \630 |
いぼ冷凍凝固法(4ヶ所以上) |
260点 | \780 |
2)よく苡仁内服(保険適用)
よく苡仁は漢方薬でハトムギの種皮を除いた成熟種子を乾燥させて生薬です。
よく苡仁は漢方薬といってもハトムギですので毒性はゼロできわめて安全な薬です。
日本皮膚科学会の治療ガイドラインでは推奨度B(おこなうように勧められる)の治療方法です。
全国市販後調査では627例中236例でイボ消失(有効率37.6%)、511例で改善の効果(改善率81.4%)となっています。
年齢別での有効率は別に調査になりますが、乳幼児で71%、学童74%、青年57%、成人20%と、若年で有効率が高い一方、成人では低くなっています。
少ないケースですがよく苡仁を飲むだけでイボがおちる方がいらっしゃいます。
通常は液体窒素による冷凍凝固、ステリハイド液外用と併用して治療します。
錠剤と粉末があり、お子様、ご高齢の方も内服できます。
内服する量は成人で1日18錠、あるいは粉で3~6gです。
小児では用量調整で減量します。
※ハトムギは子宮を弛緩させる働きがあるので妊娠中は内服できません。
保険治療の流れ
- 当院へのご来院が初めての方…完全予約制です。
- 当院へのご来院が2回目以降の方…WEB予約または保険診療窓口受付時間内にご来院ください。
※保険診療のご予約は全てWEB予約サイトから患者様ご自身でお取りいただいております。
※ご予約は受診されるお一人様ずつお取りください。
※クリニック窓口でのWEB予約サイトの利用方法の詳細な説明はいたしかねます。
※2023年7月頃を目処に、保険診療当院へのご来院が2回目以降の方においても完全予約制となります。
3)メスでの手術
※当院ではおこなっていません。ご参考にお読みください。
保険適用ですが、イボの治療ではメスで切除する手術は通常行いません。
日本皮膚科学会の治療ガイドラインでは推奨度C1(おこなうことを考慮してもよいが、治療効果に十分な根拠がない)の治療方法です。
イボはウイルス性の病気なので、メスで切ってもウイルスが傷に残っていれば再発するからです。
足底などで1つしかない古い硬くなったイボで、液体窒素でなかなか治らない時は手術をおこなったほうがよい場合があります。
4)ハサミで切る
※当院ではおこなっていません。ご参考にお読みください。
イボをハサミで切る方法があります。
この方法の利点は高周波メスやレーザーなどを用いなくても簡単におこなえることです。
欠点は隆起が少ないイボや小さいイボはハサミがかからないので治療できないことと、治療後に消えない傷痕(瘢痕)が残る場合があることです。
ハサミで切る方法だと小さいイボは治療できずに残ってします。残存してイボが増えて、しばらくしたらもとの状態に戻ります。
また、最大の欠点は瘢痕になりやすいことです。瘢痕になると醜形をきたすことがあるので注意された方がよい治療法です。
5)イボレーザー治療
イボレーザー治療に関してはこちらをご覧ください。